薬剤師として現場を離れていた期間があると、復職に不安を感じることもあるでしょう。医療制度や薬剤師の役割は日々変化しており、効率的に学び直すためには、ポイントを絞った勉強が欠かせません。本記事では、ブランクのある薬剤師が復職を目指す際に押さえておきたい勉強のポイントや具体的な学習方法を紹介します。また、復職活動をスムーズに進めるために必要な準備や心構えについても解説します。

- 1.ブランクのある薬剤師は復職が難しい?
- 2.ブランクのある薬剤師が勉強のやり直しをする上でのポイント
- 2-1.ブランク期間中の変更点をキャッチアップする
- 2-2.希望する復職先に合わせて必要な知識を身に付ける
- 2-3.具体的な目標を定めて計画を立てる
- 3.薬剤師の「学び直し」におすすめの勉強方法
- 3-1.書籍を使って基礎知識を体系的に学ぶ
- 3-2.e-ラーニングで最新情報を収集する
- 3-3.セミナーで興味のある分野の知識を身に付ける
- 3-4.Webサイトやアプリで電子添文を確認する
- 4.薬剤師が復職するためのポイント
- 4-1.復職先に希望する条件を明確にする
- 4-2.必要となる知識やスキルを確認しておく
- 4-3.ブランクの理由を説明できるように整理しておく
- 5.ブランクを乗り越えて、医療現場で活躍しよう
1.ブランクのある薬剤師は復職が難しい?
一般的には、薬剤師がブランクを経て復職することは十分に可能です。薬剤師は6年制の薬学教育と国家試験を経て得られる専門資格であるため、一度現場を離れたとしても比較的復職しやすい職種といえます。
一方で、復職に不安を感じるのも無理はありません。医療の現場は常に変化しており、数年離れるだけでも薬剤師に求められる役割や業務内容が変化するためです。
代表例が、2年ごとに行われる診療報酬や薬価の改定です。こうした制度変更が大きな節目となるため、ブランクが2年を超えると、現場で求められる知識とのギャップを感じやすくなります。
また、医薬品の分野でも、次々と新薬が登場し、治療ガイドラインも定期的に改定されるため、薬物治療の常識は数年で変化します。特に近年は、対物業務から対人業務への転換が進み、在宅医療やかかりつけ薬剤師としての関わりが重視されるようになりました。
加えて、電子処方箋やマイナ保険証の導入など、医療DXの推進によって業務の進め方そのものも変化しています。
そういった変化に対応するためには、必要とされる知識やスキルを整理し、計画的に学び直していく姿勢が必要です。
2.ブランクのある薬剤師が勉強のやり直しをする上でのポイント
ブランクからの復職に向けた勉強は、やみくもに始めるよりも、ポイントを押さえて計画的に進めた方が、知識が定着しやすくなります。ここからは、ブランクのある薬剤師が勉強のやり直しをする上でのポイントを解説します。
2-1.ブランク期間中の変更点をキャッチアップする
勉強をやり直すときは、現場を離れていた期間に何が変わったのかを把握することから始めましょう。全てを一から学び直そうとすると時間も労力もかかり、途中で挫折してしまう原因になりかねません。
例えば、厚生労働省のウェブサイトでは、直近の調剤報酬改定の概要が確認できます。中でも「リフィル処方箋」や「マイナ保険証」など、現場の実務に直接関わる新しいキーワードに注目してみるとよいでしょう。
参考:診療報酬関連情報|厚生労働省
🔽 2024年度の診療報酬改定について解説した記事はこちら
2-2.希望する復職先に合わせて必要な知識を身に付ける
復職に向けた勉強を進める上で大切なのは、自分がどのような職場で働くかを明確にして、復職先に合わせた知識を身に付けることです。調剤薬局や病院、ドラッグストアといった業態によって、求められる専門知識やスキルが異なるためです。
例えば、調剤薬局への復職を考えるなら、その薬局が主に受け付けている門前の医療機関の診療科を調べ、関連する領域の治療薬を中心に勉強を進めましょう。特に現場を離れていた期間に登場した新薬については、優先的に知識をアップデートする必要があります。
また、病院であれば、がんや糖尿病といった特定の診療科の専門知識や注射薬の混注技術が求められます。さらに、ドラッグストアではセルフメディケーションを推進するために、OTC医薬品や健康食品の知識が必要となるでしょう。
2-3.具体的な目標を定めて計画を立てる
学習を継続するためには「いつまでに、何を、どのくらい進めるか」といった具体的な目標を立てることが大切です。明確な目標があることで、学習のペースをつかみやすくなり、達成感を得ながら学習を進められます。
例えば、「今週中に電子処方箋の仕組みに関する動画を1本見る」「1か月で参考書を50ページ読む」「毎日10分、薬剤師向けのニュースサイトに目を通す」といった目標を設定してみるとよいでしょう。
また、手帳やカレンダーに目標を書き出し、達成したらチェックを入れるなど、進捗状況を可視化すると、モチベーションの維持にも役立ちます。
3.薬剤師の「学び直し」におすすめの勉強方法
薬剤師が学び直しをする方法として、書籍やe-ラーニング、セミナーへの参加など、さまざまな選択肢があります。大切なのは「基礎知識を体系的に固めたい」「最新の動向を知りたい」といった目的に合わせて、勉強方法を選ぶことです。ここからは、薬剤師の「学び直し」におすすめの勉強方法を解説します。
3-1.書籍を使って基礎知識を体系的に学ぶ
復職に向けた学び直しでは、薬理学や病態生理学といった基礎知識を整理し直すことから始めましょう。いきなり最新情報を調べるのではなく、土台となる知識を再確認することで、新しい内容への理解も深まりやすくなります。
医療現場で扱う医薬品や治療法を広くカバーした参考書を活用すれば、全体像を把握しながら要点を押さえることが可能です。まずは一通り目を通しながら、自分の理解度を確かめるつもりで読み進めると、負担なく学習を続けられるでしょう。
3-2.e-ラーニングで最新情報を収集する
新薬情報や法改正の動向などの最新情報を学ぶには、e-ラーニングの活用がおすすめです。専門家が要点を整理して解説してくれるため、自分で一つひとつ調べる手間をかけずに、実務に役立つ知識を効率よく身に付けられます。
また、時間や場所を選ばずに自分のペースで学習を進められるのが、e-ラーニングのメリットです。聞き逃した部分や一度で理解できなかった箇所は何度も繰り返し再生できるため、着実に知識を定着させられます。
加えて、動画は視覚と聴覚の両方に訴えるため、テキストだけの学習よりも内容が記憶に残りやすいと感じる方も多いはずです。
3-3.セミナーで興味のある分野の知識を身に付ける
外部のセミナーや研修会に参加することも、学び直しをするときの有効な勉強方法です。特に復職後に携わりたい分野や、重点的に学び直したいテーマがある場合には、専門的な知識を集中的に学べるよい機会となります。
セミナーの魅力は、講師に直接質問できることや、他の参加者からの刺激が得られる点です。動画視聴だけの学習とは異なり、その場で疑問を解消したり、他の人の質問をきっかけに新たな気付きを得たりすることができます。
さらに、参加者同士の交流が復職への意欲を高めるきっかけになることもあるでしょう。
3-4.Webサイトやアプリで電子添文を確認する
薬の知識の基本となるのは、電子化された添付文書(以下、電子添文)です。用法・用量や禁忌などを再確認するだけでなく、ブランク期間にどのような改訂があったかを把握することは、知識をアップデートする上で欠かせません。
また、電子添文に慣れておくことで、医療現場で調べる必要が出たときにも、迅速かつ正確に情報を探し出せるようになるでしょう。
スマートフォン用のアプリを活用すれば、ブラウザよりも画面に適したサイズで表示され、手軽に最新の電子添文を閲覧できます。お気に入り登録や検索機能が充実したアプリを選べば、さらに効率的に情報収集ができるでしょう。
🔽 薬剤師の勉強方法について解説した記事はこちら
4.薬剤師が復職するためのポイント
知識の学び直しと並行して、復職に向けた準備も進めていきましょう。復職を成功させるには、どのような働き方をしたいのかを自分自身で整理し、応募先の情報を調べておくことが大切です。薬剤師が復職するためのポイントについて見ていきましょう。
4-1.復職先に希望する条件を明確にする
復職活動を始める前には、復職先に希望する条件を整理して優先順位を付けておきましょう。希望条件が曖昧なままでは、職場選びの判断軸が定まらず、復職後のミスマッチにもつながりかねません。
「勤務時間や曜日」「給与」「通勤距離」「業務内容(調剤メイン、在宅、OTCなど)」「研修制度の有無」といった項目を書き出し、自分にとって絶対に譲れない条件と、ある程度は妥協できる条件を分けて考えると、職場選びの軸がはっきりしやすくなります。
また、扶養の範囲内でパート・アルバイトとして働きたいのか、それとも正社員としてキャリアを積みたいのかによっても、選ぶべき働き方は変わります。
4-2.必要となる知識やスキルを確認しておく
応募したい薬局や病院が見つかったら、その職場でどのような知識やスキルが求められているのかを、事前に調べておきましょう。学習内容と、現場で必要とされる能力の方向性を合わせることで、復職がよりスムーズになります。
求人票の「業務内容」や「歓迎スキル」には、その職場が注力している業務が記載されている場合があります。例えば、「在宅医療に力を入れています」といった記載があれば、在宅分野の知識を優先的に復習しておくと、面接時に具体的な意欲を伝えやすくなります。
過去に関連する経験がある場合は、それを踏まえて話すことで、よりポジティブな評価が期待できるでしょう。
4-3.ブランクの理由を説明できるように整理しておく
面接でブランク期間について尋ねられたときのために、ブランクの理由をポジティブに伝えられるように準備しておきましょう。
出産や育児、家族の介護といったやむを得ない理由であれば、正直に伝えて差し支えありません。その上で「子育てが一段落したため、再び薬剤師として貢献したい」というように、復職への前向きな意欲をあわせて示すことが大切です。
一方で、人間関係や収入といった前職への不満が退職理由だった場合は、伝え方に工夫が必要です。前の職場に対する否定的な意見ばかりを述べると、マイナスな印象を与えかねません。
その場合は「新しい環境でスキルアップしたい」「キャリアアップを目指せる職場で働きたい」など、できるだけ今後のキャリアに対するポジティブな動機として伝えるように心がけましょう。
🔽 薬剤師が復職を成功させるためのポイントを解説した記事はこちら
5.ブランクを乗り越えて、医療現場で活躍しよう
薬剤師は専門資格が必要な職種であるため、基本的にブランクがあっても復職は十分に可能です。ただし、診療報酬や薬価の改定、新薬の登場、医療DXの推進など、現場は常に変化しており、学び直しは欠かせません。
勉強を始める際は、ブランク期間中に変化した点を把握し、希望する復職先に応じて必要な知識を優先的に身に付けることが大切です。勉強方法としては、書籍で基礎を固めたり、e-ラーニングやセミナーで最新情報を取り入れたりするのがよいでしょう。
また、復職先に希望する条件や、求められるスキルを明確にし、ブランクの理由について分かりやすく伝える準備も重要です。自分に合った方法で、復職に向けた勉強を進めましょう。

執筆/篠原奨規
2児の父。調剤併設型ドラッグストアで勤務する現役薬剤師。薬剤師歴8年目。面薬局での勤務が長く、幅広い診療科の経験を積む。新入社員のOJT、若手社員への研修、社内薬剤師向けの勉強会にも携わる。音楽鑑賞が趣味で、月1でライブハウスに足を運ぶ。
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