【JGPMが発足】患者からのカスハラ被害仲介 ~ 薬局メディエーター育成へ
薬局におけるカスタマーハラスメントの被害が増える中、薬局と患者のトラブル仲介を担う「薬局メディエーター」の育成を目指した取り組みが始まった。昨年に、日本薬局メディエーター研究会(JGPM)が発足し、患者と医療者のトラブル解決手法である医療メディエーション研究の第一人者による指導のもと、研修制度の構築を進めている。組織対応力を高め、薬剤師やスタッフが安心して働ける環境整備を支援したい考えだ。
薬局メディエーターは、法的判断を行う弁護士とは異なり、中立的な立場で双方が冷静に状況を整理できるよう支援する対話の専門家であり、薬局薬剤師やスタッフが兼任するほか、チェーン薬局では専任配置も想定される。
薬剤師で製薬企業に長年勤め、現在は経営コンサルティングなどを手がける小山成一氏は、昨年9月に薬局メディエーターを商標登録し、10月に任意団体としてJGPMを設立した。今年に入り、日本薬剤師会などの関連団体や行政との連携を見据え、信頼性確保を図るため一般社団法人化した。
薬局勤務経験もある小山氏は、薬局におけるメディエーター確保の必要性について、「薬局を取り巻く環境が大きく変わる中、薬局業務が複雑化しており、理不尽な要求やカスハラ被害を受ける薬剤師やスタッフは後を絶たない。個々の職員が対応するには限界があり、組織で対応できる仕組みが欠かせない」と強調する。
設立や方針設定では、早稲田大学法学学術院の和田仁孝教授に助言を求めた。和田氏は、病院向けメディエーター育成研修を実施する国内最大の専門組織の日本医療メディエーター協会(JAHM)代表理事であり、小山氏は「メディエーション研究と実装の第一人者に指導と支援を求めた。戦略的連携という枠組みでの(支援の)提案をいただいている」と説明する。
正式連携が実現すれば、JAHMが確立した育成プログラムを、和田氏が薬局向けに改編した内容で薬局薬剤師やスタッフ向けの研修会を開く方針だ。講師派遣はJAHMへ要請する計画としている。
小山氏は「薬局現場でメディエーション技術が広がれば、離職率低下や職員満足度向上にもつながる」と説明。和田氏は、「メディエーターにならなくても、研修でクレーム対応を学ぶだけでも日々の業務に生かせる。薬局全体のコミュニケーション向上にもつながる」と語る。
病院では、看護師や事務職などが「医療メディエーター」として活動し、死亡事例を伴う重篤な事故から小規模なクレームまで幅広く対応している。2012年には診療報酬上の評価として「患者サポート体制充実加算」が新設されている。
小山氏は医療メディエーター育成の枠組みを参考に、将来的には薬局向けの認定制度や診療報酬上の評価創設も視野に入れている。
🔽 薬剤師のカスタマーハラスメント対策に関するニュースはこちら
カスハラ対策でポスター~薬剤師への威嚇など防止 日本保険薬局協会
【都薬調査】薬剤師のカスハラ経験7割~医薬品流通問題で休職も
「クレーム対応保険」開始~カスハラの弁護士費用補償 日本薬剤師会
出典:薬事日報


薬+読 編集部からのコメント
薬局と患者のトラブル仲介を担う「薬局メディエーター」の育成を目指した取り組みが始まっています。2025年に日本薬局メディエーター研究会(JGPM)が発足し、研修制度の構築が進められており、薬剤師やスタッフが安心して働ける環境整備を支援したい考えです。