医療機器

薬剤師の分業意識に危機感‐磯部参事官「専門家としての対応再点検を」

薬+読 編集部からのコメント

厚生労働省の磯部参事官が北海道薬学大会で行った講演のレポートです。医薬分業の歴史をテーマに、多くの薬剤師が医薬分業が進んでいる状況を「当たり前」と感じていることを憂慮し、今後の薬剤師のあり方についても触れられています。

厚生労働省の磯部総一郎参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)は、先に開かれた北海道薬学大会で「医薬分業の歴史」をテーマに講演。医師と薬剤師の熾烈な闘いの結果、分業が進んできた過去を振り返った上で、多くの薬剤師が“血のにじむような努力をしてきた先人たちの労苦”を忘れ、医薬分業が進んでいる状況を「当たり前」と思っていることを憂慮し、「患者一人ひとりに最大限の対応ができているかを再点検すべき」と述べ、奮起を促した。

 

磯部氏は、明治、大正、昭和期にかけての医薬分業実現に向けた歩みや、闘いを紹介。それでも、分業は思うように進まなかったが、1980年頃から「薬漬け医療」を糾弾する声が高まり、厚労省が薬価改定方式を見直し、薬価差の縮小と医師の技術料の引き上げを行うようになったことで、大きく進展し始めたと分析した。

 

医薬分業が進んだ一番の要因について、「やはり、薬価差の解消だったと理解すべき」とし、薬剤師が国民から信認されて進んだ分業であれば、今後も着実に進展していくことが見込めるものの、医療機関側の経済的な要因で分業が進んだとすれば、「さらなる進展はあるのか」と疑問視した。

 

磯部氏は、「いまの薬剤師は先人たちの医薬分業実現に向けた血のにじむような努力を忘れ、分業を当たり前のように思っている」と指摘。それでも、「分業はまだ70%にも達していない」という現状を踏まえ、「薬局に処方箋を持って訪れた患者一人ひとりに薬の専門家として最大限の対応ができているかを再点検すべき」と述べた。

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出典:薬事日報

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