創薬進路選択へ「報奨」必要 ~ 特色ある薬学教育重要に 薬剤師のキャリアパスに関する懇談会
厚生労働省の「薬剤師のキャリアパスに関する懇談会」が9月30日に開かれ、創薬に関わる薬剤師のキャリアについて議論した。薬局薬剤師の割合が年々増加する一方、研究機関や製薬企業など創薬関連分野に進む薬剤師は減少傾向にあり、構成員からは大学薬学部の特色を生かした教育を通じて多様な人材を育成する必要性が指摘された。また、創薬分野を進路として選択してもらうためには、処遇改善やキャリア形成支援などの「インセンティブ」が必要との声も相次いだ。
厚労省は、基礎研究から応用研究、臨床研究・治験、製造、流通、市販後調査まで幅広い創薬関連キャリアが存在する中、人材育成や仕組みづくりを進める上で重点を置くべき領域について意見を求めた。
構成員から重点領域として挙がったのが治験・臨床研究分野だ。武田泰生構成員(日本病院薬剤師会会長)は、「薬剤師が創薬プロセスの中で最も関わりやすいのは臨床開発の後半部分であり、治験や製造販売後調査の領域だ」と指摘。「臨床開発モニター(CRA)や治験コーディネーター(CRC)の機能を薬剤師が担うべきであり、承認薬、未承認薬を問わず継続的にフォローアップしていく必要がある」と訴えた。
近藤直樹構成員(国立がん研究センター東病院薬剤部長)も「企業の開発部門では理学部など他学部出身者が増え、薬学出身者が減少している」と現状を説明。「病院内でも病院薬剤師は少なく、治験・臨床研究への関与が薄くなっている。GCP省令改正で治験支援薬局の活用が可能となったことも踏まえ、薬局薬剤師も含めこの分野に焦点を当ててほしい」と求めた。
一方、創薬が複雑化・多様化する中、大学ごとの特色を生かした教育の重要性も指摘された。
浦野泰照構成員(東京大学大学院薬学系研究科長・薬学部長)は、「創薬力とはゼロから1を生み出す人材を育成することだ」と強調。「卒前教育の研究期間である50週間だけでは十分ではなく、大学4年から修士課程までの後半3年間を研究に充てることで、研究の面白さを実感する人材が一定数生まれる」と述べた。東大ではGMP対応の治験薬製造施設を整備したほか、RI(ラジオアイソトープ)研究を進める大学も増えていると紹介した。
齋藤嘉朗構成員(国立医薬品食品衛生研究所長)は、「安定供給問題に関して製薬企業からは品質保証部門に人材が集まらないとの声を聞く」と説明。「品質保証も薬剤師が専門性を発揮できる重要な領域であり、薬剤師のキャリアの一つとして認識してもらいたい」と要望した。
一方で、創薬分野は薬局や病院に比べて学生が将来像を描きにくいとの課題があり、構成員からはキャリアパスの見える化や処遇面を含めたインセンティブの検討を求める声も出た。
出典:薬事日報


薬+読 編集部からのコメント
厚生労働省の「薬剤師のキャリアパスに関する懇談会」で、創薬に関わる薬剤師のキャリアについて議論が行われました。構成員からは、大学薬学部の特色を生かした教育を通じて多様な人材を育成する必要性が指摘されました。