医療

単科薬大の将来見据え決断 ~ 岐阜薬大 原学長、大学統合「改革で生き残る」

薬+読 編集部からのコメント

岐阜薬科大学と岐阜市立女子短期大学の統合による「岐阜市立大学(仮称)」の開設について、岐阜薬大の原学長は「大学を取り巻く環境が大きく変わる中で将来を真剣に考えた結果、単科薬科大学だけでは生き残れないと判断した」と決断の背景を語りました。

岐阜薬科大学の原英彰学長は、本紙の取材に応じ、岐阜市立女子短期大学との統合による「岐阜市立大学(仮称)」への再編が決まったことについて、「大学を取り巻く環境が大きく変わる中で将来を真剣に考えた結果、単科薬科大学だけでは生き残れないと判断した」と決断の背景を語った。新設する創造理工学部と薬学部の学部を超えた密接な連携により、創薬やヘルスサイエンス、ウェルビーイングなどの価値領域の創造を目指す考えで、「とにかく薬学が生き残るためには改革が必要。現状維持ではなく、約100年の伝統を核にしながら先手を打って変わっていくことが重要だ」と意義を強調する。


 

岐阜市は岐阜薬科大学と岐阜市立女子短期大学を統合し、2029年4月に「岐阜市立大学(仮称)」を開設する方針を決めた。当初は岐阜市女子短大の再編が議論の中心だったが、最終的に2大学の統合による岐阜市立大学の開設という方針転換で決着した。

 

原氏は、「統合の話がなかったら、単科薬科大学として特徴を出していくという従来の方針で進んでいたかもしれない」としながらも、「もう時代が変わり、異業種との連携なしに生き残れないとも感じていた。AIの進化一つとっても、薬学だけでは社会課題を解決できない時代になっている。今は学生も優秀で研究も成果が出ているし、大きな問題もない状況ではあったが、だからこそ今、変わらなければ単科薬科大学として衰退していくという危機感があった」と語る。

 

他大学と連携していく方向性もあるが、「他大学だと本気ではやらず中途半端になってしまうと思う。それならば、創造理工学部のデータサイエンス系コースと本当の意味での学部連携をすれば強いのではないか」と総合理系大学としてのメリットを見据える。

 

そのため、新たに誕生する岐阜市立大学では、薬学を礎に未来をデザインする大学をビジョンに掲げ、薬学の伝統を核にしながら岐阜市立女子短大の資産と新たな知を融合し、学部を超えた共創により特色ある公立理系大学として発展を目指す方向である。

 

中核となる薬学部では、従来の薬学にとらわれず創薬・生命科学、医療薬学、社会薬学、予防・未病・美容と幅広い領域をカバーし、生命と健康を科学する研究力により「ウェルビーイング・ループ」の創出を狙う。また、創造理工学部ではデータサイエンス系コース、建築・デザイン系コースの教育研究成果を地域に還元しつつ、地元企業への就職をはじめ人材輩出につなげる構想を描く。

 

その上で、薬学とデータサイエンスの強固な連携や薬学的視点からの「再生建築」などを視野に、創薬・生命科学、ヘルスサイエンス・栄養、ヘルシーシティ・ウェルビーイング、AI・データ駆動型社会などの領域について価値を創造していきたい考えだ。

 

ただ、統合により、約100年近い伝統を紡いできた“岐阜薬科大学”の名前は消えることになる。原氏は「反対は多いし、最初は悩んだ。しかし、これまでの伝統は堅持して、伝統と改革を両立していくことが大事だと思っている」と強調する。

 

岐阜薬科大学から岐阜市立大学薬学部へ――。3年後から生き残りをかけた大学運営がスタートする。

 

原氏は「優秀だけではなく、チャレンジする学生を輩出していきたい。今後は偏差値の高さよりも推進力、チャレンジを恐れない人材が必要になってくるのではないか。そのためにも単に変わるのではなく、現状維持では生き残れないと危機感を持って臨んでいきたい」と将来を見据える。

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出典:薬事日報

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