医療

睡眠障害に先発品を推奨 ~ BZ系の安易な使用抑制へ 愛媛県東温市

薬+読 編集部からのコメント

愛媛県東温市で県内初の地域フォーミュラリが策定されました。睡眠障害に的を絞り、先発品のオレキシン受容体拮抗薬を主軸に据えたことが特徴で、地域全体に活用を呼びかけ、依存性や副作用が懸念されるベンゾジアゼピン系薬の安易な使用を抑えたい考えです。

愛媛県内の薬剤師会、病院薬剤師会、東温市の医師会、歯科医師会、県や地域行政の関係者らは、東温市を対象に県内初の地域フォーミュラリを策定した。睡眠障害に的を絞り、先発品のオレキシン受容体拮抗薬を主軸に据えたことが特徴で、生活習慣病などを対象に後発品を推奨する一般的なフォーミュラリとは一線を画する。地域全体に活用を呼びかけ、依存性や副作用が懸念されるベンゾジアゼピン系薬の安易な使用を抑えたい考えだ。

 


 

策定した地域フォーミュラリでは、入眠困難と睡眠維持困難に分けて推奨薬を示した。寝つきに時間がかかる「入眠困難」には「デエビゴ」(一般名:レンボレキサント)と「クービビック」(一般名:ダリドレキサント)、中途覚醒や早朝覚醒を含む「睡眠維持困難」には「ベルソムラ」(一般名:スボレキサント)とデエビゴの使用を推奨している。いずれのタイプにも非ベンゾジアゼピン系睡眠薬のエスゾピクロンをオプションとして設定した。

 

7日に開かれた検討会議には、東温市医師会、同歯科医師会の会長、愛媛県薬剤師会、同病院薬剤師会の会長のほか、愛媛県や東温市の行政担当者、松山薬剤師会、医薬品卸、保険者ら約30人が参加。睡眠の専門医や愛媛大学病院などの基幹病院の薬剤師、薬局薬剤師らがまとめた案をもとに協議し、内容に合意した。

 

睡眠薬に焦点を当てたのは、診療科や疾患を問わず地域全体で睡眠障害に対応している現状がある一方、睡眠の専門医は少なく、汎用されるベンゾジアゼピン系薬の使用にも課題があるためだ。同系薬は、反跳性不眠などの離脱症候群が生じることがあり、いったん使用を始めると別の薬への切り替えや減量が容易ではない。高齢者では転倒や転落につながる可能性もあるため、安易な新規使用を抑える必要がある。

 

作用機序が異なるオレキシン受容体拮抗薬は、ベンゾジアゼピン系薬に比べて依存形成や転倒のリスクは低いとされる。地域フォーミュラリでオレキシン受容体拮抗薬の使用を推奨し、地域の開業医など睡眠を専門としない医師が新規に睡眠薬を処方する際、ベンゾジアゼピン系薬を安易に選択することを抑える。入院中から退院後まで、地域の医療者が同じ方向性を共有して睡眠薬の適正使用を継続し、患者の安全性を高めたい考えだ。

 

薬局薬剤師には、医師の薬剤選択を支援する役割を期待する。愛媛大病院の田中守教授・薬剤部長は「薬剤師が医師から相談を受けた場合、オレキシン受容体拮抗薬を使うよう提案してもらいたい」と語る。ベンゾジアゼピン系薬による有害事象を把握し、医師に報告して適正使用につなげる役割にも期待を寄せる。

 

策定したフォーミュラリは地域の開業医らに周知し、活用を促す。医師会を通じた連絡に加え、卸の活用も検討している。先発品を推奨する内容であるため、卸の協力は得やすいと見ている。全国健康保険協会愛媛支部や卸の協力を得て、策定後の処方動向の変化も追跡する方針だ。

 

既にベンゾジアゼピン系薬を服用している患者については、オレキシン受容体拮抗薬などへの切り替えを進めるため、切り替え方法などを定めたプロトコールの作成を検討する。田中氏は「プロトコールができればトレーシングレポートや地域連携パスにつなげることができる」と期待を語る。

 

今後は、県内の関係者と取り組みを共有し、東温市で始まった睡眠薬の地域フォーミュラリを県内各地に広げたい考え。東温市では歯科領域における薬剤選択などについても地域フォーミュラリの策定に向けた検討を進める計画だ。

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出典:薬事日報

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