15年度はインドネシア株‐流行前ワクチンの備蓄決定
厚生科学審議会感染症部会の小委員会は3日、2015年度に備蓄するH5N1プレパンデミックワクチンに免疫交差性の高い「インドネシア株」を選び、500万人分のワクチンを確保する方針を決めた。12年に製造したチンハイ株ワクチンの有効期限が今年度中に切れることへの対応。また、従来の鶏卵培養法に加え、今年度から製造期間を約半年に短縮できる細胞培養法を採用し、それぞれ250万人分のワクチンを製造することとした。新たな備蓄方針は、きょう8日の感染症部会で審議し、決定される見通し。
同委員会のもとに設置されたワクチン作業班は、一つのワクチン接種でインドネシア株が異なるワクチン株にも免疫性を有する交差免疫性が最も高かったことを報告した。また、細胞培養法によるインドネシア株のワクチンでも、グラクソ・スミスクラインの乳濁型アジュバント「AS03」による効果で、幅広い交差免疫性が認められたとし、細胞培養法の採用を提案することにした。
ただ、日本では備蓄ワクチンとしてAS03のアジュバントを使用した経験がないため、今後もAS03等の細胞培養法乳濁アジュバントワクチンについて、さらなる研究を進める必要があるほか、細胞培養法ワクチンの有効期限等の延長について製造業者と検討すべきとした。
これを受け、同委員会は今年度から細胞培養法ワクチンを備蓄することを決めた。インドネシア株において、鶏卵培養法と細胞培養法でそれぞれ250万人分のワクチンを製造する方針とした。
H5N1ウイルス由来のプレパンデミックワクチンは、感染対策の一つとして医療従事者など約1000万人に接種することを想定したもの。細胞培養法によるワクチン製造は、化学及血清療法研究所、武田薬品、北里第一三共ワクチンで開発が進められてきた。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
厚生科学審議会感染症部会の小委員会が2015年度のプレパンデミックワクチンに「インドネシア株」を選び、500万人分を確保する方針を決定しました。今年度からは鶏卵培養法に加え、細胞培養法も採用するとのことです。