ハーセプチン後続品、今年度内に日米治験開始
日医工は、バイオ後続品事業の本格的なグローバル展開に乗り出す。今秋には抗TNF‐α抗体「インフリキシマブ」(先発品:レミケード)の国内申請を行い、今年度内に抗HER2抗体「トラスツズマブ」(先発品:ハーセプチン)の日本と米国を対象とした治験を開始する予定。田村友一社長は、本紙のインタビューに応じ、目標とする世界トップ10のジェネリックメーカーに向け、「バイオ後続品市場が形成されていない米国で最速上市を達成し、シェアを取っていきたい」と話す。
同社は、韓国エイプロジェン社と提携し、バイオ後続品事業を展開している。第1号製品となるインフリキシマブでは、関節リウマチ患者を対象とした第III相試験で、先発品との同等性を示す良好な結果を得た。
インフリキシマブをめぐっては、昨年秋に日本化薬が日本初抗体医薬の後続品として発売しているが、計画に対して販売実績が上げられておらず、苦戦が続いている。ただ、田村氏は、「われわれが参入する頃には市場から認知されてくるようになる。他社に先行されたが、市場浸透の遅さで逆にチャンスが生まれている」と巻き返しに自信を見せる。
今後は営業体制を構築していく。バイオ後続品事業では共同販促を前提としており、現在販売パートナーを選定中。臨床試験での良好な結果から「スムーズに進むのではないか」(田村氏)と見ている。
自社の営業体制については、癌領域とバイオ後続品の専門部隊として100人体制に整備し、そのうち優秀な人材を30人程度、バイオ後続品に特化させる方針。ピーク時売上として年65億円を目指している。
日本と並行して、米国での事業基盤強化も急ぐ。インフリキシマブは、国内臨床データなどを活用し、2017年度の申請、米国物質特許が満了する18年度の承認と最短での米国事業化を狙う。ピーク時年230億円を計画する。
トラスツズマブでは、日本と米国の同時開発に向け、米FDA、医薬品医療機器総合機構との治験相談を行っている段階。年末から来年初めをメドに治験を開始する予定。両製品とも他社との共同開発を通じて、事業化を目指す計画だ。
世界のジェネリック医薬品(GE薬)市場では、GE薬大手による数兆円規模の買収が繰り返され、競争が激しくなっている。日医工は、世界トップ10入りの基準となる売上高を「2000億~2500億円」としており、来年度からスタートする中期経営計画では海外展開をテーマとする方向。特に米国のバイオ後続品市場が主戦場になると考えており、大きく浮上する戦略を描く。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
日医工が今年度中に抗HER2抗体「トラスツズマブ」(先発品:ハーセプチン)の治験を開始する予定を発表しました。対象は日本と米国。海外展開をテーマとし、世界トップ10に入る売上高を見込んだ戦略を描いているとのことです。