薬剤師国試の合格基準緩和‐禁忌肢、前倒し19年から導入
基本方針まとめる
医道審議会薬剤師分科会の薬剤師国家試験制度改善検討部会は、合格基準を従来の「絶対基準」から「相対基準」に見直すことや、薬剤師にすべきでない受験者を識別するため、間違って一定数以上、選択した場合に自動的に不合格となる「禁忌肢」の導入などを盛り込んだ基本方針をまとめ、公表した。基本方針は2021年の第106回国試から適用するが、相対基準の導入は3月の第101回国試から、禁忌肢については19年の第104回国試から適用する。
基本方針では、「6年制課程導入後の国試の状況を見ると、年度によって合格率に大きな変動が生じており、このような状況が継続することは決して望ましいとは言えない」と指摘。原因の一つとして、6年制課程に対応した国試の実施回数が少なく、受験者の学修レベルと問題の難易度が合致していないことを挙げた。
こうした状況を踏まえ、合格基準を現行の「得点率65%以上」とする絶対基準から、「平均点と標準偏差を用いた相対基準」に変更。試験ごとに合格基準を定めるようにする。
また、「受験者の学修レベルと問題の難易度が合致していない中で、特定の科目の基準を満たさないことのみをもって、薬剤師として基本的な資質がないとは言い切れない」とし、必須問題を構成する各科目の足切りを現行の50%から30%に引き下げ、これまで35%に設定されていた薬学理論・実践の各科目の足切りを廃止するなど、要件を緩和する。
禁忌肢は、薬剤師として選択すべきではない選択肢のことで、医師国家試験などでは既に導入されているもの。
誤った知識を持つ受験者を識別する観点から、▽公衆衛生に甚大な被害を及ぼす▽倫理的に誤っている▽患者に対して重大な障害を与える危険性がある▽法律に抵触する――といった内容での問題作成を想定している。
ただ、解答時の記入ミスなど、偶発的な要因で受験者が不合格になるリスクを最小限に抑えるため、禁忌肢を含む問題の質や出題数も検討する。
また、一般問題(薬学理論問題)において、同一科目内での連問や複数の科目を組み合わせた連問を出題することや、「実務」以外の複数の科目を組み合わせた複合問題(例えば、「薬理」と「薬剤」を組み合わせる場合には、「薬理」「薬剤」と「実務」2問の計4問が連続する問題となる)の出題を増やすなどの工夫が必要とした。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
薬剤師国家試験制度改善検討部会が薬剤師国家試験の合格基準を「得点率65%以上」とする絶対基準から「平均点と標準偏差を用いた相対基準」に見直すことや、禁忌肢の導入などについての基本方針を公表しました。基本方針は2021年の国試から適用の予定ですが、相対基準の導入は2016年3月の第101回国試から適用されるとのことです。