抗癌剤の医療事故調査、薬剤漏れや副作用が半数
日本医療機能評価機構は、抗癌剤に関連した医療事故を調査した報告書をまとめた。過去6年間の医療事故計228件のうち、「薬剤の血管外漏出・血管炎」や「投与中の状態の悪化(副作用等)」の事例報告が半数以上を占めた。また、ヒヤリハット事例は158件で、「支持療法の間違い」や「薬剤の血管外漏出・血管炎」が多いことが分かった。
同機構は、抗癌剤が取り扱いに注意が必要なことや患者への影響が大きいことなどから、関連した医療事故が多く報告されているとし、医療事故については2010年1月~16年3月まで、ヒヤリハット事例については1~3月までの事例を対象に発生状況などを調査した。
過去6年間の医療事故は228件で、そのうち「薬剤の血管外漏出・血管炎」が68件と最も多く、次いで「投与中の状態の悪化(副作用等)」が53件と続いた。発生時で見ると、「実施に伴う確認・観察」が128件、「処方」が41件だった。
事故の程度では、「死亡」が20件、「障害が残る可能性が高い」が26件と、患者への影響が大きい事例が見られる一方、「障害が残る可能性なし」54件、「障害なし」71件と、患者に障害を残さない事例も多く見られた。治療を行った事例も多く、「濃厚な治療」は105件と、抗癌剤に関連した事例全体の46.1%を占めた。
ヒヤリハット事例は158件で、そのうち「支持療法の間違い」が29件と最も多く、「薬剤の血管外漏出・血管炎」26件、「その他」19件が続いた。発生時では、「実施」が64件と多く、「実施に伴う確認・観察」が42件、「処方」が18件だった。
同機構では、抗癌剤に関する事例を継続的に集め、医療安全情報などで注意喚起を行ってきた。今後も3回にわたって事故の背景などの分析を進めていくとしている。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
日本医療機能評価機構は抗癌剤に関連した医療事故の報告書を公表しました。2010年1月~2016年3月までの医療事故・計228件のうち、「薬剤の血管外漏出・血管炎」が68件と最多で「投与中の状態の悪化(副作用等)」が53件と半数以上を占めているということです。