タイトルの「ずくなし」とは、著者の出身地である長野の方言で「なまけ者」や「根性なし」を意味する言葉です。本書では、そんな「ずくなし」でも簡単に実践できる健康法が数多く紹介されています。
かつて電気のなかった時代には、人間は太陽がのぼると活動をはじめ、夜暗くなったら眠る、という生活をしていました。現代は夜遅くまで活動することが当たり前になり、そのような自然な生活のリズムが変化したことによって、自律神経の乱れも起きやすくなったのです。自律神経の乱れは、頭痛や肩こり、めまい、全身の疲れなど、さまざまな身体症状を引き起こす要因となります。
本書では自然のリズムに合わせて生活することで健康的に生活する方法が、「二十四節気」や「陰陽五行」といった古くから伝えられている考え方に沿って具体的に紹介されています。また自分の体質を知るために、陰陽五行によるチェックシートが用意されており、体質に合わせた生活のアドバイスに加え、体質改善に役立つツボや体操、食材などもまとめられています。
医学や薬学の発展していなかった時代には、食品や植物など自然のものが持つ効果を活用して健康を保っていました。現代の医療で使われている薬も、その多くはもともと自然のなかにあった成分を取り出したり、それを真似たりして作られています。つまり、季節の食材や漢方薬など植物の効果を活用することは、健康を維持するためには理にかなったことなのです。
「薬を飲まない健康法」というと、薬剤師の仕事と相反するもののように感じるかもしれませんが、日ごろ病気や薬をあつかう薬剤師にとっても「健康とは何か」を意識することはとても大切です。人間の身体が本来あるべき状態を知り、改めて「健康」について考えたいときに本書が役立つのではないでしょうか。