後発品拒否に一定自己負担‐薬局が生活保護の服薬管理を
財務省は10月27日、来年度の予算編成に向け、後発品の使用を拒否する生活保護受給者に対し、先発品との差額について一定の自己負担を求める案を、財政制度等審議会財政制度分科会に示した。生活保護制度を悪用して、C型肝炎治療薬をだまし取った不正も見られることから、自治体で生活保護受給者への薬の二重支給の発見に努めると共に、薬局を通じた生活保護受給者の服薬管理を徹底させるよう改善策を提案した。
生活保護受給者の医薬品の使用に関しては、後発品の使用が可能であると医師が判断した場合、後薬品の使用を原則としているが、昨年度に一般名処方が行われた医薬品において、後発品を調剤しなかった理由で「患者の意向」が67.2%と、約7割の患者が意図的に後発品を拒んでいる実態が浮き彫りとなった。
財務省は、自治体が指導することにより、後発品の使用を促進する余地が大きいと指摘すると共に、自治体における後発品の使用状況には大きな差があると問題意識を示した。
こうした現状を踏まえ、医師などが後発品への切り替え可と判断し、自治体が指導を行っても先発品を使う場合、後発品との差額について一定の自己負担を求めるなど、実効性のある改善策を行うべきとした。
また、2017年度半ばまでに生活保護受給者の後発品の使用割合を75%まで引き上げるという政府目標の達成に向け、自治体が薬剤師会や医師会などと連携し、各地域における状況や全国での位置づけを把握した上で、使用促進に向けた取り組みを加速化すべきとした。
さらに、生活保護世帯数に占める不正受給件数が増加していることに加え、最近では、生活保護制度を悪用してC型肝炎治療薬をだまし取る事件が発生したことから、自治体でレセプトデータの分析による生活保護受給者への薬の二重支給の発見に努めるよう提言。薬局を通じて生活保護受給者の服薬管理を徹底させるなど実効性ある改善策を図るべきとした。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
財務省が後発医薬品を拒否し、先発品を希望した生活保護受給者に対しては差額の自己負担を求める案を財政制度等審議会財政制度分科会で示しました。生活保護制度を悪用し、C型肝炎治療薬をだまし取る不正や薬の二重支給なども発生していることから、薬局が生活保護受給者の服薬管理を徹底させるべきなどの案も出されています。