オプジーボ1万人超に投与‐薬価制度「経営予見性の担保を」
小野薬品の相良暁社長は7日の中間決算説明会の中で、緊急的な薬価引き下げで話題の抗悪性腫瘍剤「オプジーボ」について、「今は当事者として、薬価が高いか妥当か、また、海外と比較してどうかなどをコメントする段階ではない」と意見表明を避けた。
相良氏は、「オプジーボのように、一つの化合物が10を超える効能効果を取る想定外の薬剤が出て、従来の薬価制度が適合しなくなった」と述べ、「経営予見性が担保できるルールをしっかり作っていただいて、それに基づいたイノベーションを進めていきたい」との考えを示した。
オプジーボの開発状況は現在、14癌種がPIII以上の段階にある。その中で、腎細胞癌は国内で8月に承認を取得。ホジキンリンパ腫は、米国で承認されており、抗PD-1抗体では世界初の血液癌での承認となった。日欧では申請中で、国内では間もなく承認される。
頭頸部癌は、日欧米、韓国、台湾で申請中。国内では来春に承認を予定している。
非小細胞肺癌の1次治療の可能性を調べる「チェックメイト026試験」では有用性を得られなかったが、相良社長は、「この試験結果によって、今のセカンドライン以降の使い方に対してそれほど大きなマイナスは感じていない」と強調した。なお、非小細胞肺癌と腎細胞癌では、単剤群も含めた他の1次治療の臨床試験(PIII)が進められている。
オプジーボの国内投与状況は、9月末までで1万0816人に用いられており、そのうち、非小細胞肺癌は9032人。2、3月は待機していた患者があり、1カ月に1000人を超えたが、ここ3カ月間は800~900人程度になっている。
相良氏は、オプジーボの競合品との差別化にも言及し、「いろいろな効能を早く承認にこぎ着けて、拡大していきたい。様々な併用療法が考えられるが、より効率的にその有用性を示して先発のアドバンテージを維持したい」との戦略を示した。
また、業績好調で増加する内部留保は、「今後、まず自社の研究開発費や、国内外からの導入品、ベンチャー企業の買収」を中心に振り向ける。
二つ目の候補として、「設備投資(新研究棟設立、生産ラインの増加など)」、最後に「株主などへの還元」を挙げた。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2016年9月末までで1万人を超える患者に投与されている抗悪性腫瘍剤「オプジーボ」。緊急の薬価引き下げ対応でも話題になっていますが、小野薬品の相良暁社長は10月7日(金)の中間決算説明会で薬価が妥当かどうかについての明言は避けたと伝えられています。