後発品80%達成は20年9月‐塩崎厚労相、目標時期を明言
使用率低い地域テコ入れ
厚生労働省は23日、後発品の数量シェア80%目標の達成時期を2020年9月とすることを決めた。塩崎恭久厚生労働相が経済財政諮問会議に示した。17年央の数量シェア70%目標に対して、65.1%にとどまる見通しも踏まえ、現行の20年度末までに80%以上の目標を半年前倒しすることにした。さらに「医薬品産業強化総合戦略」を見直し、後発品の使用率が低い地域での取り組みをテコ入れする方針だ。
塩崎厚労相は、薬価制度の抜本改革により革新的新薬の創出につなげる一方、長期収載品の薬価引き下げ、後発品への置き換えを進める方針を強調。骨太方針で18~20年度末までのなるべく早い時期と明記され、厚労省が20年度末を目標としていた数量シェア80%の達成時期を20年9月とすることを表明した。
また、後発品の使用率が53.3%と全国で最も低い徳島県が75.2%と最も高い沖縄県と同等に高くなった場合、医療費削減による財政効果は40億円に上ると試算。80%の達成時期設定に合わせて「医薬品産業強化総合戦略」を見直し、後発品の使用率が低い地域での取り組みを推進していく方針を示した。バイオシミラーの研究開発支援策拡大も明言。20年度末までにバイオシミラーの品目数を成分ベースで倍増させる方針を明らかにした。
民間議員からは「80%目標の達成時期を20年9月に設定しているが、さらに早く達成できるようリーダーシップの発揮をお願いしたい」と注文がついた。
一方、塩崎厚労相は、革新的新薬の創出に寄与する薬価制度を実現するため、新薬創出等加算の見直しを明言。対象となる医薬品の範囲と企業要件を見直すほか、費用対効果を評価する新組織を整備し、真に有効な医薬品については薬価引き上げを含め適切に評価する方針を打ち出した。
革新的新薬を高く評価する一方、長期収載品の薬価をさらに引き下げることにより、長期収載品に依存しない高い創薬力を持つ産業構造に転換するとした。
民間議員も、新薬創出等加算について、革新性のある医薬品に対象を絞り込むなど見直しを要求。類似薬に比べて画期性が低いものは薬価を明確に区別し、長期収載品の薬価をより引き下げるよう提言した。さらに、他の民間議員や関係閣僚からも、薬価制度の抜本改革で国民負担の軽減を求める意見が相次ぎ、塩崎厚労相も「薬価改定の成果を国民負担軽減につなげることが大切」と応じた。
リフィル処方推進を検討‐付加価値ある薬剤師業務へ
また塩崎厚労相は同会議で、調剤報酬の抜本的な見直しを進め、患者に付加価値のある薬局・薬剤師業務に評価をシフトさせる考えを表明。重複投与の防止や医療費削減に貢献するため、医師の指示に基づく「リフィル処方」の推進を検討する方針を明らかにした。
塩崎厚労相は、現在の多くの薬局が薬の一元管理や副作用・効果の継続的な確認、気軽な健康相談といった求められている機能を十分に果たせていないとし、調剤報酬の抜本的な見直しを進めることにより、患者にとって付加価値のある薬局・薬剤師業務を評価していく方向にシフトさせ、患者本位の医薬分業を実現する考えを表明。
重複投薬の防止、電子お薬手帳などのICTを活用した服薬情報の情報共有といった“かかりつけ機能”の強化に向け、長期投薬による副作用を早期に発見したり、残薬の発生を防ぐため、医師の指示のもとで処方箋を繰り返し使用できるようにする「リフィル処方」制度の推進を検討していく方針を明言した。さらに、門前・門内薬局の問題を踏まえ、薬局が果たす機能に応じた評価をさらに進めるほか、後発品使用体制加算の評価見直しの検討にも言及した。
社会保障改革を議論したこの日の会議で、民間議員からは、かかりつけ薬局の普及が提言された。調剤報酬について、外来の技術料が院内と院外で約3倍違うことを指摘。技術料の違いに関する妥当性を検証し、適切に評価していくべきとし、門前薬局、門内薬局の評価見直しを求めた。一方、かかりつけ薬局の機能強化を促し、重複投薬の是正やリフィル処方箋による残薬解消など、対人サービスを重視した調剤を推進すべきとし、処方箋依存から服薬管理への移行を求めた。
さらに、かかりつけ薬局の普及に向け、保険調剤からの収入依存度を下げ、地域医療の担い手として健康サービスに関する事業を一層拡大できるよう提言。セルフメディケーションを進めるためのスイッチOTCの増加、薬の有効性に応じた保険償還率の設定を検討すべきとした。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2017年5月23日、厚生労働省は後発医薬品の数量シェア80%という目標達成の時期を2020年9月と定めました。「医薬品産業強化総合戦略」を見直し、後発品の使用率が低い地域での取り組みをテコ入れする方針ということです。