2番目のJAK阻害薬登場‐5品目の承認・一変を了承
薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は5月30日、日本イーライリリーの関節リウマチ治療薬「オルミエント」など5品目の承認と一部変更承認申請を審議し、了承した。
審議品目
▽アメナリーフ錠200mg(マルホ):新有効成分のアメナメビルを含有し、帯状疱疹を効能・効果とする。
ヘルペスウイルスのDNA複製に関するヘリカーゼ・プライマーゼ複合体の活性を阻害することで抗ウイルス作用を示す薬剤で、用法・用量は1回400mgを1日1回食後に投与する。類薬にアシクロビル、バラシクロビルなどがある。
再審査期間は8年。海外での承認はない。
▽ソマチュリン皮下注120mg(帝人ファーマ):有効成分のランレオチド酢酸塩を含有し、膵・消化管神経内分泌腫瘍の効能・効果を追加する。
用法・用量は120mgを4週ごとに深部皮下に注射する。
再審査期間は4年。海外では、膵・消化管神経内分泌腫瘍の適応で、欧米など46の国と地域で承認されている。
▽イストダックス点滴静注用10mg(セルジーン):新有効成分のロミデプシンを含有し、再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫を効能・効果とする。
同剤は、ヒストン等の脱アセチル化を阻害することで、細胞周期の停止、アポトーシスの誘導等により、腫瘍増殖を抑制するヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬。末梢性T細胞リンパ腫の適応症を有するHDAC阻害薬は初めて。
希少疾病用医薬品で再審査期間は10年。海外では、米国など5カ国で承認されている。
▽オルミエント錠2mg、同4mg(日本イーライリリー):新有効成分のバリシチニブを含有し、既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)を効能・効果とする。
関節リウマチに伴う炎症に重要な役割を果たす細胞内のシグナル伝達を標的とし、その経路であるヤヌスキナーゼ(JAK)を阻害する薬剤。JAK阻害薬としては、ファイザーのゼルヤンツ錠に次いで2剤目。
用法・用量は、4mgを1日1回投与。患者の状態に応じて2mgに減量することができる。
再審査期間は8年。海外では、欧州で今年2月に1日1回4mgを基本用法・用量として承認されている。なお、米国では16年1月に申請され、FDAから追加の臨床データが必要との見解が示されている。
▽プラリア皮下注60mgシリンジ(第一三共):有効成分のデノスマブ(遺伝子組み換え)を含有し、関節リウマチに伴う骨びらんの進行抑制の効能・効果を追加する。
骨が溶け出す過程に関与するRANKLと呼ばれる受容体を阻害することによって破骨細胞による骨吸収を抑制し、関節の骨破壊の進行を抑制する薬剤で、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)による治療を行っても骨びらんの進行が認められる患者に追加投与する。
用法・用量は、60mgを6カ月に1回、皮下投与するが、それでも骨破壊の進行が認められる場合には3カ月に1回皮下投与することができる。
再審査期間は4年。海外での承認はない。
報告品目
▽アクテムラ皮下注162mgシリンジ、同162mgオートインジェクター(中外製薬):有効成分のトシリズマブ(遺伝子組み換え)を含有し、既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)を効能・効果とする。
現行の「2週間に1回投与」だけでなく、「効果不十分な場合に1週間まで投与間隔を短縮」できるようにするため、用法・用量の一部変更承認申請を行った。再審査期間は残余の19年3月24日まで。
▽スチバーガ錠40mg(バイエル薬品):有効成分のレゴラフェニブ水和物を含有し、癌化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞癌の効能・効果を追加する。
優先審査品目で、再審査期間は残余の2021年3月24日。海外では、米国で肝細胞癌の適応で17年4月に承認済み。欧州では審査中。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2017年5月30日、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は日本イーライリリーの関節リウマチ治療薬「オルミエント」など5品目の承認と一部変更承認申請を審議し、了承しました。「オルミエント」はJAK阻害薬としては、ファイザーのゼルヤンツ錠に次いで2剤目ということです。