後発品103品目を販売中止‐「安定供給が困難」理由に 武田テバ
医療現場から批判相次ぐ
武田テバは18日、製造販売している後発品53成分103品目について、来年3月で販売を中止すると発表した。2020年以降に特許切れ製品で国内トップを目指す同社は、将来の事業を見据え、1製品ごとに品質や供給の問題点を検討してきたが、12年以前に発売した製品で、将来的な安定供給が困難と判断したものについて販売中止を決断した。国内で100品目を超える後発品の販売中止は初めての事態。医療現場からは「場当たり的な開発を行ってきたツケ」「とんでもないこと」など厳しい意見が相次いだが、「よく決断した」と歓迎する声もある。
同社は、合弁会社として発足した昨年4月から武田テバファーマと武田テバ薬品の2社で販売する後発品282成分775品目に関して、安定供給リスクを洗い出し、製剤設計や製造工程の見直しや原薬供給元の変更などの一部変更申請、第三者への製造委託、それらが難しい品目は販売中止の三つの選択肢から検討してきた。
その結果、旧大洋薬品を買収した12年以前に開発した製品のうち、現行基準に安定的な適合が難しく、製剤工程や処方を改善しても根本的な改善が難しい製品103品目を選定。国の疑義解釈委員会に諮ったところ、販売中止が認められた。主な販売中止品目は、アスピリン腸溶錠100mg「タイヨー」、アムロジピン内用ゼリー2.5mg、5mg「TYK」、イブリフラボン錠200mg「テバ」など。
販売中止103品目のうち、同一成分で武田テバグループ内で製造が重複している49品目も含まれる。今回の決断について、同社は「安定供給基準への適合を判断したもので、不採算品などの経済性を理由にした販売中止ではない」と経済的理由を否定している。
販売中止製品は、来年3月まで注文に対応できる在庫を確保している。さらなる販売中止は「現時点で計画していない」としているが、品質管理基準から逸脱した品目の可能性に含みを持たせた。
「場当たりのツケ」「英断」‐賛否交錯、指針違反指摘も
後発品100品目以上の販売中止といった事態に、使用促進に取り組む医療現場からは苦言が相次いだ。大学病院薬剤部長は、「英断かもしれないが、場当たり的な後発品開発を行ってきたツケ。市場は曲がり角に来ており、長期的な戦略に基づく開発が強く求められる」と指摘。「医薬品の費用には、税金が投入されていることをもっと意識すべき。業界団体も反省すべき点は多い。他の企業も追随して患者さんや現場が混乱することがないよう、考えられる限りの努力をしてほしい」と注文を付けた。
別の大学病院薬剤部長は「改めてテバは“売り手良し”の姿勢で企業活動されていると感じざるを得ない。今後採用することはないだろうし、アポイントなしの訪問禁止措置なども必要ではないか」と批判のトーンを強めた。薬局薬剤師からも「販売中止の理由に安定供給に影響を及ぼすリスクを挙げているが、武田テバも加盟する日本製薬団体連合会のガイドラインからすると、今回の判断はコンプライアンス違反と言えるのではないか。医薬品の安定供給という社会的責任を果たしてもらいたい」との声が出た。
これに対して、別の面薬局の薬剤師は「よく決断した。良いことだと思う。異常な数の後発品に困っていたので、これを機に多くの新発売に少しでもブレーキがかかってほしいし、厚労省やメーカーにも対応を考えてもらいたい」と歓迎の意向を示している。
さらに卸関係者からは、「影響は小さくないが、これまで再編のたびに深刻な供給問題を繰り返してきた。今回は外科手術として、安定供給を何としても確立していただきたい」と求める声が出ている。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
武田テバは、現在製造販売している後発品のうち53成分103品目について、来年3月で販売を中止すると発表しました。国内で100品目を超える後発品の販売中止は初めてです。
主な販売中止品目は、アスピリン腸溶錠100mg「タイヨー」、アムロジピン内用ゼリー2.5mg、5mg「TYK」、イブリフラボン錠200mg「テバ」などです。