ビューティー

更新日:2020.03.05公開日:2017.11.09 美容&健康トレンド

薬剤師兼美容家として活動する花田真理さんが、「薬剤師として知っておきたい美容の知識」「手軽にできるヘアアレンジ」など、“薬剤師と美容”をテーマに語るコラムです。

vol.36 薬剤師がおさえておきたい化粧品安全性試験(後編)RIPTとは?

前編では化粧品安全性試験の「パッチテスト」と「ノンコメドジェニックテスト」についてご説明しました。
これらの試験は化粧品選びの際の指標として役立つ試験のため、薬剤師として化粧品をアドバイスすることがある方は押さえておきたい知識です。
今回は化粧品安全性試験の中から「RIPT」と「スティンギングテスト」についてご説明します。

RIPTとは?

RIPTとは累積刺激及び感作試験とも呼ばれ、製品を長期間使用した際にアレルギーが起こらないかどうかを確認する試験のことをいいます。
肌に接触する可能性がある製品が対象となっていて、スキンケア製品やボディケア製品、汗拭きシート等の化粧品や生活用品でも実施されています。

試験方法

試験を実施するメーカーにより試験方法が多少異なりますので一例になりますが、試験方法についてご説明します。
前編でご説明したパッチテストを計9回(3週間)継続します。 その後、約2週間の休止期間を入れ、再度24時間のパッチテストを実施し、刺激性とアレルギー反応を確認し評価します。
評価は皮膚科医が行い、その結果を見てメーカーがこの表記をするかしないか決めます。評価が著しく悪い場合は製品を改良するのが通常の対応だと思います。

表示可能な文言

試験を行った製品には「アレルギーテスト済み」「累積刺激テスト済み」と表記可能です。

注意点

「アレルギーテスト済み」「累積刺激テスト済み」と表記されている製品でもすべての方に刺激やアレルギーが起こらないというわけではありません。
会社ごとに試験内容が異なる可能性があり、あくまでも個人差があるので、試験済みの製品が肌に合わない場合もありますのでお客さんにすすめる場合、ひとこと先に説明した方が誤解を招かないでしょう。

スティンギングテスト

スティンギングテストとは、製品を使用した際にかゆみやヒリヒリ感が生じないかどうかを評価する試験のことをいいます。
スキンケア製品等の化粧品で実施されています。

試験方法

試験を実施するメーカーにより試験方法が多少異なりますので一例になりますが試験方法についてご説明します。
敏感肌の方を対象とし、顔面に検体を塗布。塗布直後、塗布2.5分後、塗布5分後、塗布8分後など段階を経て感覚を被験者に採点させスコアを算定し、医師も観察を行い異常がないか判断します。
皮膚科医立ち合いの元、刺激感や不快感を被験者が評価する方法です。

表示可能な文言

試験を行った製品には「スティンギングテスト済み」「低刺激性」と表記可能です。

注意点

「スティンギングテスト済み」「低刺激性」と表記されている製品でもすべての方にかゆみやヒリヒリ感が生じないというわけではありません。
こちらもあくまでも個人差があるので、試験済みの製品が肌に合わない場合もありますので注意しましょう。

前編後編に渡り、化粧品を選ぶ際に役立つ安全性試験を4つご説明しました。
万人に安全性が保証されているわけではありませんが、特にメーカーが低刺激性に自信を持っていたり、それをアピールしたい商品に表記している場合が多いので化粧品を選ぶ際の指標として参考にすると良いと思います。
また、これらの試験を行っていてもパッケージに表記しないメーカーもありますので、お使いの化粧品に「○○済み」と表記がないからと不安になる必要はありません。
これらの表記はあくまでも参考として使用し、最終的には自分の肌に合うかどうかが一番重要です。
薬局でお客さんなどにアドバイスを行う際は、注意点もひとこと伝えるようにすれば、薬剤師らしい接客と言えるのではないでしょうか。

花田 真理(はなだ まり)

大学卒業後、調剤薬局に勤務、その後化粧品業界へ転職し、薬事・商品研究開発・総括製造販売責任者等の業務に携わる。現在は、自身のブランド(化粧品「MarryMemory」、ハーブティー「Doctor&Pharma」)を立ち上げ、薬剤師兼美容家として活動中。

Doctor&Pharma:http://www.doctor-and-pharma.co.jp/

花田 真理(はなだ まり)

大学卒業後、調剤薬局に勤務、その後化粧品業界へ転職し、薬事・商品研究開発・総括製造販売責任者等の業務に携わる。現在は、自身のブランド(化粧品「MarryMemory」、ハーブティー「Doctor&Pharma」)を立ち上げ、薬剤師兼美容家として活動中。

Doctor&Pharma:http://www.doctor-and-pharma.co.jp/