薬剤師会

【薬局ヒヤリ・ハット年報】一般名処方の水際防止増加‐疑義照会関連は1359件

薬+読 編集部からのコメント

2016年の薬局で起こった「ヒヤリ・ハット」事例の集計結果を日本医療機能評価機構が公開しました。
報告総数は4939件。医療機関で発生した処方の間違いを薬局で発見した疑義照会は1359件と前年より300件以上増加。薬剤師が水際で患者さんの副作用を防いでいることを表す結果となりました。
また、調剤に関するヒヤリ・ハットでは後発品の使用が影響してか、一般名処方に関するケースが増え、その多くが「薬剤の取り違え」であったことがわかりました。

日本医療機能評価機構は20日、2016年の薬局ヒヤリ・ハット事例をまとめた集計結果を公表した。昨年の薬局におけるヒヤリ・ハット事例の報告件数は4939件。医療機関で発生した処方の誤りを薬局で発見した疑義照会関連の事例が1359件と増加すると共に、後発品の使用促進策を反映して一般名処方に関するヒヤリ・ハット事例も増加していた。

 

16年に報告されたヒヤリ・ハット事例は、調剤関連が3561件(72.1%)と前年比で166件減少した一方、疑義照会関連は1359件(27.5%)と前年より300件以上増えた。疑義照会関連のヒヤリ・ハット事例は、全体の3割近くを占めるまでになった。

 

そのうち、薬剤変更に関する事例が391件と最多となった。仮に変更前の処方通りに服用した場合、患者に健康被害があったと推測される事例が67.3%と7割に迫っており、薬剤師が水際で副作用を防ぐ事例が大幅に増加している傾向がうかがえた。

 

また、一般名処方に関するヒヤリ・ハット事例を分析した結果、昨年報告された4939件のうち413件と、前年より100件以上増加し、全体に占める割合も8.4%に上昇した。そのうち、調剤に関する事例が307件と前年から83件増え、疑義照会に関する事例も48件増えた。後発品の種類が多数に上る中、一般名処方に関するヒヤリ・ハット事例も増えており、薬剤師が水際で防いでいる状況がうかがえた。

 

調剤に関する事例の内訳を見ると、薬剤取り違えが176件(57.3%)と最も多く、その内容は同じ成分の医薬品と取り違えた事例が67.6%に上った。具体的には、一般名で処方されたドネペジル塩酸塩口腔内崩壊錠5mgについて、「アリセプトD錠5mg」を調剤するところ、「ドネペジル塩酸塩錠5mg『明治』」を取り揃え、交付直前に誤りに気づいた。

 

また今回は、ハイリスク薬に関する事例のうち、抗凝固剤に関するヒヤリ・ハット事例の分析も行われた。抗凝固剤に関する事例は68件と、ヒヤリ・ハット事例の1.4%となり、調剤関連が37件、疑義照会関連が31件となった。

 

そのうち、薬剤取り違えの事例は2件とハイリスク薬全体の19.9%などと比べて報告件数の割合は低かったが、「ワーファリン錠1mg」を調剤するところ、β遮断薬の「ビソプロロールフマル酸塩錠2.5mg『日医工』」を調剤するなど、交付されて患者が服用した場合、重大な影響を与える可能性があった。

 

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出典:薬事日報

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