「ネキシウム」に特例再算定‐用法変更でPD1抗体も引下げ
厚生労働省は17日、2018年度薬価制度改革で年間販売額が大きい品目の薬価を引き下げる「市場拡大再算定」の適用品目を中央社会保険医療協議会総会に示し、了承された。年間販売額が1000億円以上の品目に適用される「特例拡大再算定」ルールは、アストラゼネカのプロトンポンプ阻害剤「ネキシウム」と類似品である武田薬品の「タケキャブ」の2成分4品目が対象となった。市場拡大再算定は大日本住友製薬の抗パーキンソン剤「トレリーフ」など9成分18品目、効能追加による用法用量変化再算定は、小野薬品の「オプジーボ」など3成分5品目に適用され、多くの品目で薬価が引き下げられることになった。
特例拡大再算定は、年間の売上高が1000億円以上1500億円以下で、予想販売額の1.5倍を超えた品目の薬価を最大25%引き下げ、年間売上高が1500億円以上で予想販売額の1.3倍以上の品目は最大で50%の薬価を引き下げるルール。「ネキシウム」は、年間売上高が1000億円を超え、予想販売額の1.5倍以上に拡大したことから適用され、「ネキシウム」を比較薬の一つとして薬価算定した類似品の「タケキャブ」も対象となった。
効能追加によって医薬品の使用実態が変化し、市場規模が拡大したため、市場拡大再算定の対象となったのは「トレリーフ」と塩野義製薬の抗うつ剤「サインバルタ」の2成分。ただ、「サインバルタ」の類似品である旭化成ファーマの「トレドミン」と、ファイザーの「イフェクサーSR」については、薬価算定組織で検討した結果、市場での競合性が乏しいことから類似品に該当しないと判断。市場拡大再算定の対象から除外された。
原価計算方式で算定され、年間売上高が150億円以上で予想販売額の2倍を超えたか、年間売上高が100億円以上で予想販売額の10倍を超えたため、市場拡大再算定の対象となったのは、マイランEPDの慢性便秘症治療剤「アミティーザ」、ノバルティスファーマの経口造血刺激剤「レボレード」、抗癌剤「アフィニトール」、グラクソ・スミスクラインのA型ボツリヌス毒素「ボトックス」、MSDの筋弛緩回復剤「ブリディオン」、全薬工業の悪性リンパ腫治療剤「リツキサン」、日本新薬の骨髄異形成症候群治療剤「ビダーザ」の7成分。
このうち、「レボレード」と「リツキサン」については、希少疾病用医薬品の効能追加を評価。それぞれ5%の加算率を考慮し、市場拡大再算定による引き下げ幅を緩和する。
「ボトックス」の類似品であるエーザイのB型ボツリヌス毒素「ナーブロック」については、薬価算定組織が検討した結果、市場での競合性が乏しいことから類似品に該当しないと判断。市場拡大再算定の対象から除外された。
また、主な効能効果が変化したことにより、小野薬品の抗癌剤「オプジーボ」に用法用量変化再算定が適用された。当初、根治切除不能な悪性黒色腫の効能・効果で承認されたが、15年12月に切除不能な進行・再発非小細胞肺癌の効能が追加され、用法用量の変更が行われた。これが用法用量変化再算定の要件を満たすと判断された。
「オプジーボ」が用法用量変化再算定の対象となったことにより、「オプジーボ」を比較薬として薬価算定し、昨年発売されたばかりのMSDの「キイトルーダ」、メルクセローノの「バベンチオ」も類似品として用法用量変化再算定の適用となった。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
年間販売額が大きい品目の薬価を引き下げる「市場拡大再算定」。適用品目が中央社会保険医療協議会総会で了承されました。
大日本住友製薬の抗パーキンソン剤「トレリーフ」など9成分18品目です。
年間販売額が1000億円以上の品目に適用される「特例拡大再算定」ルールは、アストラゼネカのプロトンポンプ阻害剤「ネキシウム」と類似品である武田薬品の「タケキャブ」の2成分4品目、効能追加による用法用量変化再算定は、小野薬品の「オプジーボ」など3成分5品目に適用されました。