過去最大級の買収提案‐シャイアーに6.7兆円で
武田薬品がアイルランドの製薬企業「シャイアー」の取締役会に対し、約6兆円半ばという巨額の買収提案を行っている。23日現在で計4回の提案を実施。12日にシャイアーの発行済み株式全てを1株当たり46.50ポンドで取得する申し出を提示したが、シャイアー側が拒否。20日には1株当たり47ポンドへと7%増額し、6兆7000億円水準で再度提案を行った。武田は提示額の増額について、「シャイアーの株主から同意を得る上で極めて十分な機会である」とコメントし、買収を実現した場合にも日本本社を維持するとした。買収が成功すれば、日本企業として過去最大級、グローバルの製薬業界でも大型M&Aとなるが、実現するかは不透明な状況だ。
武田は、3月29日にシャイアーに対する買収検討を認める声明を発表。「初期の調査段階での検討」としており、買収提案は行っていなかった。12日にシャイアーへ買収提案を行ったが、申し出を拒否されていた。
シャイアーは、世界的な希少疾患薬大手。2015年11月には最大59億ドルで米ダイアックス、16年1月には米バクスアルタを320億ドルで買収するなど、事業規模を拡大していたが、16日に仏セルヴィエに癌事業を24億ドルで売却していた。17年業績は前年比33%増の151億ドルと高成長を遂げており、武田と同等の売上高を誇る。
武田は直近だと、16年に米アリアド・ファーマシューティカルズを買収。1兆円を超える案件は、11年に実施したスイス・ナイコメッドに対するM&Aのみ。武田がシャイアーとの取引で得られるメリットとして、消化器系領域、ニューロサイエンス領域などを強化できることや、希少疾患で世界トップクラスであるシャイアーのフランチャイズ獲得、重点領域での研究開発戦略の強化、高分子薬を中心とした後期開発パイプラインの強化、米国市場での成長機会獲得などを挙げている。
近年、希少疾患薬に強い製薬企業をめぐっては、世界的な製薬大手の買収標的となっているが、武田も勝負に出た格好だ。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
武田薬品がアイルランドのシャイアー社に約6兆円という超大型買収提案を申し出ました。(価格は現在交渉中)
実現すれば日本企業としては最大級です。
M&Aのメリットとして、消化器系領域、ニューロサイエンス領域などの強化、希少疾患で世界トップクラスであるシャイアーのフランチャイズ獲得、重点領域での研究開発戦略の強化、高分子薬を中心とした後期開発パイプラインの強化、米国市場での成長機会獲得などをあげています。