アステラスの先駆け品が通過‐「ハーセプチン」後続品も登場
薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は8月29日、アステラス製薬の急性骨髄性白血病治療剤「ゾスパタ錠40mg」など4件の承認を審議し、了承した。また、ファイザーが申請した抗癌剤「ハーセプチン」のバイオ後続品「トラスツズマブBS点滴静注用『ファイザー』」の承認など8件の報告を受けた。
審議品目
▽ゾスパタ錠40mg(アステラス製薬):新有効成分のギルテリチニブフマル酸塩を含有し、再発または難治性の「FLT3遺伝子変異陽性」の急性骨髄性白血病(AML)を効能・効果とする。AMLのうち、FLT3遺伝子変異陽性患者に対する治療薬の承認は初となる。
用法・用量は、120mgを1日1回経口投与する。先駆け審査指定医薬品、希少疾病用医薬品で、再審査期間は10年。海外で承認している国・地域はない。
▽フィラジル皮下注30mgシリンジ(シャイアージャパン):新有効成分のイカチバント酢酸塩を含有し、遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作が効能・効果。類薬ではできない自己投与が可能となった。
用法・用量は、1回30mgを皮下注射し、効果が不十分または症状が再発した場合、6時間以上の間隔をおいて1回30mgを追加投与できる。24時間当たりの投与回数は3回まで。
希少疾病用医薬品で、再審査期間は10年。海外では、欧州や米国など44カ国で承認されている。
▽ジビイ静注用250、同500、同1000、同2000、同3000(バイエル薬品):新有効成分のダモクトコグアルファペゴル(遺伝子組み換え)を含有し、血液凝固第VIII因子欠乏患者の出血傾向の抑制を効能・効果とする。
用法・用量は、添付の溶解液全量で溶解し、緩徐に静脈内注射するが、1分間に2.5mLを超える注射速度は避ける。12歳以上の患者に1回体重1kg当たり10~30国際単位を投与するが、患者状態に応じて増減する。定期的に投与する場合は12歳以上の患者に体重1kg当たり30~40国際単位を週2回投与するが、患者状態に応じて体重1kg当たり45~60国際単位を5日に1回または体重1kg当たり60国際単位を週1回投与できる。
再審査期間は8年で、海外では、米国と欧州で承認申請されている。
▽ローブレナ錠25mg、同100mg(ファイザー):新有効成分のロルラチニブを含有し、ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性か不耐性のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行再発非小細胞癌を効能・効果とする。用法・用量は、1日1回100mgを経口投与し、患者の状態に応じて減量する。条件付き早期承認制度適用医薬品で、再審査期間は8年。海外で承認している国・地域はない。
報告品目
▽トラスツズマブBS点滴静注用60mg「ファイザー」、同150mg(ファイザー):中外製薬の「ハーセプチン注射用」を先行品とするバイオ後続品。HER2過剰発現が確認された乳癌と治癒切除不能な進行再発胃癌を効能・効果とする。
後続品の用法・用量は、乳癌に1日1回初回投与時に4mg/kg(体重)、2回目以降は2mg/kgを90分以上かけて1週間間隔で点滴静注するA法のみに限定されている。
再審査期間はなし。海外では、5月にEUの医薬品委員会でポジティブオピニオンが採択されている。
▽パージェタ点滴静注420mg/14mL(中外製薬):有効成分のペルツズマブ(遺伝子組み換え)を含有し、HER2陽性の乳癌を効能・効果とする。これまでは手術不能か再発したHER2陽性乳癌患者を対象としていたが、通常のHER2陽性乳癌患者にも投与可能となった。
再審査期間は、残余期間の2021年6月27日までで、海外では、HER2陽性の早期乳癌の術前・術後薬物療法に関する効能・効果で42の国・地域で承認されている。
▽オラビ錠口腔用50mg(そーせい):有効成分のミコナゾールを含有し、効能・効果はカンジダ属による口腔咽頭カンジダ症。新たに口腔用を追加した。再審査期間はない。海外では米国と欧州4カ国で承認されている。
▽アドセトリス点滴静注用50mg(武田薬品):有効成分のブレンツキシマブベドチン(遺伝子組み換え)を含有し、CD30陽性のホジキンリンパ腫、CD30陽性の再発・難治性の未分化大細胞リンパ腫を効能・効果とする。これまで再発または難治性のCD30陽性疾患に限定していたが、限定を解除した。
希少疾病用医薬品で、再審査期間は残余期間の24年1月16日まで。海外では米国で承認されている。
▽エルプラット点滴静注液50mg、同100mg、同200mg(ヤクルト)、オキサリプラチン点滴静注液50mg「DSEP」、同100mg、同200mg(第一三共エスファ)、同50mg「NK」、同100mg、同200mg(日本化薬)、同50mg「サワイ」、同100mg、同200mg(沢井製薬)、同50mg「ニプロ」、同100mg、同200mg(ニプロ):有効成分はオキサリプラチン。
▽5-FU注250mg、同1000mg(協和発酵キリン):有効成分はフルオロウラシル。
▽アイソボリン点滴静注用25mg、同100mg(ファイザー)、レボホリナート点滴静注用25mg「NK」、同100mg(高田製薬)、同25mg「NP」、同100mg(ニプロ)、同25「オーハラ」、同100(大原薬品)、同25mg「ヤクルト」、同100mg(ヤクルト):有効成分のレボホリナートカルシウムを含有。
これら3品目の併用療法について、新たに小腸癌の効能・効果を追加した。未承認薬等検討会議の開発要請品目。再審査期間はなく、海外承認もない。
▽ブスルフェクス点滴静注用60mg(大塚製薬):有効成分のブスルファンを含有する造血幹細胞移植前治療剤。同種造血幹細胞移植の前治療、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、神経芽細胞腫の自家造血幹細胞移植の前治療を効能・効果とし、新たに用法・用量として、他の抗癌剤との併用で1回3.2mg/kgを3時間かけて点滴静注するB法を追加した。1日1回4日間投与する。
再審査期間はない。造血幹細胞移植の前治療に対する1日1回静脈内投与の用法・用量として、海外では英国など欧州4カ国で承認されている。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
アステラス製薬の先駆け品となる急性骨髄性白血病治療剤「ゾスパタ錠40mg」、シャイアージャパンの「フィラジル皮下注30mgシリンジ」ほか4件が承認審議を通過。
また、ファイザーの抗癌剤「ハーセプチン」のバイオ後続品「トラスツズマブBS点滴静注用『ファイザー』」の承認も報告されました。