医療

医薬品業界を振り返る‐10年間の主なトピックより

薬+読 編集部からのコメント

この10年の医薬品業界の出来事、いくつ覚えていますか?
2008年登録販売制度がスタート、2013年薬事法から薬機法へ改正、2014年医薬品ネット販売解禁など、記事を読んで振り返ってみましょう。

この10年間の医薬品業界は、薬価制度改革のほか、登録販売者試験の開始や薬事法改正、医薬品のネット販売などで大きな動きもあった。その年のトピックから10年を振り返る。

 

2008年 初の登録販売者試験

改正薬事法完全施行により、新しい医薬品販売制度がスタートした。薬剤師以外の医薬品販売専門家として店頭に立つ登録販売者だ。

その資質を認定するための登録販売者試験が実施され、第1回試験では、全都道府県で6万0271人が受験し、4万1190人が合格、全国平均の合格率は68.3%だった。

 

2009年 新薬創出等加算制度が導入

製薬業界が導入を待ち望んだ薬価維持特例が、「新薬創出・適応外使用薬解消等促進加算」として実現した。

中央社会保険医療協議会では、本体プラス改定の財源確保を優先する診療側から、「なぜ今なのか」「ドラッグラグは本当に解消するのか」「特許が切れたら市場を後発品に譲るのが大前提」などと慎重論が相次いだ。

しかし、日本製薬工業協会が未承認薬等開発支援センターを立ち上げ、業界が一丸となって、医療現場でニーズの高い新薬開発に自ら乗り出すと、中医協側の態度は軟化。「試行的に導入してみてはどうか」という意見が出始めた。

さらに、薬価本調査で、市場実勢価格に基づく薬価改定により、相当の本体引き上げ財源を捻出できるメドがついたことも、大きな後押しになった。

 

2010年 診療報酬、10年ぶりのプラス改定

民主党から自由民主党への政権交代から初の診療報酬改定が4月に行われ、技術料本体1.55%引き上げ、薬価と材料価格の引き下げを合わせても全体で0.19%の増額で、小幅ではあるものの、10年ぶりのネットプラス改定となった。

 

2011年 製薬協、透明性指針公表

日本製薬工業協会は3月、医療機関や医師等に支払った金銭の情報を開示する「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」を公表した。研究費、臨床試験費や寄付金、講師への謝礼、講演会費用などが対象。2012年度分の支払いを13年度から公表することになった。

 

2012年 エパデールのスイッチOTC化

薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会で、持田製薬が製造販売する高脂血症治療薬「エパデール」(一般名イコサペント酸エチル、EPA)のスイッチ化了承のニュースは、製配販を含めた多くのOTC業界関係者が注目した。これまで同部会では、2度にわたって審議されたものの、医師委員の反対意見で見送り状態となっていたためだ。

スイッチ化に当たっては、生活習慣病を改善するための資料をセルフチェックシートに付け、販売時には薬剤師による十分な情報提供と指導を行うこと等が条件に付けられた。

 

2013年 改正薬事法が国会で成立

「薬事法等の一部を改正する法律」と、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が先の臨時国会で成立した。

改正薬事法では、これまで以上に医薬品・医療機器の安全対策を強化すると共に、日本発の革新的な医薬品・医療機器の創出や、再生医療製品を早期に実用化に結びつけるための措置を講じている。

安全面では、医薬品・医療機器の製造販売業者に対し、最新の知見に基づいて作成した添付文書を厚生労働大臣に届け出ることを義務づけ、対策を強化。

再生医療製品を条件つきで早期に承認することや、医療機器の特性を踏まえた制度改正も行う。医薬品とは別の医療機器の「章」を新たに追加。薬事法の名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)に改めた。

 

2014年 医薬品のネット販売解禁

改正薬事法が6月12日に施行され、インターネット販売が禁止されていた第1類薬と第2類薬の販売が原則として解禁された。改正法で新設された医療用から転用して間もない「要指導医薬品」と「劇薬」を除く一般用医薬品の約99%についてネット販売が可能となった。

 

2015年 AMEDが発足

日本の医療研究の司令塔役として、4月に国立研究開発法人「日本医療研究開発機構(AMED)」が発足した。各省庁からの一元化予算を活用し、医薬品や再生医療の研究、癌や認知症等の分野で、基礎から実用化まで一貫して推進していく国家的な体制を整備した。

初代理事長には、元慶應義塾大学医学部長の末松誠氏が就任し、職員約300人体制でスタートした。

 

2016年 オプジーボ薬価を50%減に

抗癌剤「オプジーボ」の効能追加をきっかけに、高額薬剤をめぐる薬価算定方法を問題視する議論が浮上し、厚生労働省は「オプジーボ」の薬価を17年2月から50%引き下げる緊急薬価改定の実施を決定した。

ところが、オプジーボ問題を受け、効能追加等による市場拡大に対応するルールがない現行薬価制度に政府の経済財政諮問会議から問題意識が示され、政府が主導する形で薬価制度の抜本的見直しに議論が発展した。

 

2017年 薬価制度の抜本改革骨子決まる

薬価制度の抜本改革に関する骨子が決定した。長期収載品の薬価を引き下げる新ルールが導入され、後発品シェアが80%以上の長期品は10年かけて後発品の薬価に揃えられ、新薬創出等加算は革新性の高い新薬に絞り込み、国内臨床試験の実施数などをポイント化して点数の高い順に上から25%程度の企業だけが薬価を維持できる厳しい見直しとなる。製薬業界の反発も大きく、若干の要件緩和は行われたものの、全体としてはまさに抜本的な改革となった。

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出典:薬事日報

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