フルオロキノロン系抗菌薬、重大な副作用に大動脈瘤‐添付文書改訂を指示
厚生労働省は10日、バイエル薬品の「モキシフロキサシン塩酸塩」(アベロックス錠400mg)などフルオロキノロン系抗菌薬12品目、ファイザーの抗癌剤「アキシチニブ」(インライタ錠1mg、同5mg)など6品目について、添付文書の「使用上の注意」を改訂するよう製造販売業者に指示した。
モキシフロキサシン塩酸塩や第一三共の「シタフロキサシン水和物」(グレースビット錠50mg、同細粒10%)などフルオロキノロン系抗菌薬12品目については、シタフロキサシン水和物など5品目に「重要な基本的注意」の項を新設。
既に同項が設けられている7品目も含め全12品目の「慎重投与」の項に「大動脈瘤または大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤または大動脈解離の既往、家族歴もしくはリスク因子(マルファン症候群等)を有する患者」を追記する。
また、重要な基本的注意の項には、観察を十分に行うと共に、腹部、胸部または背部に痛みなどの症状が現れた場合は直ちに医師の診察を受けるよう患者に指導すること、慎重投与の項に追記した患者には必要に応じて画像検査の実施も考慮するよう追記。さらに、「重大な副作用の項」に「大動脈瘤、大動脈解離」を追記する。
その他、アキシチニブについては、重大な副作用の項に「間質性肺疾患」を追記。直近3年間で間質性肺疾患に関連する国内症例が20件報告され、これらのうち死亡症例が1件認められたことから、専門家の意見を踏まえ、使用上の注意を改訂することが適切と判断。バイオジェン・ジャパンの脊髄性筋萎縮症治療剤「ヌシネルセンナトリウム」(スピンラザ髄注12mg)は、水頭症に関する国内、海外症例が集積したことから、新たに重大な副作用の項を設け、「水頭症」を追記することにした。
また、セルジーンの抗造血器悪性腫瘍剤「レナリドミド水和物」(レブラミドカプセル2.5mg、同5mg)は、重大な副作用の項に「進行性多巣性白質脳症」を追記。
ブリストル・マイヤーズスクイブの抗ウイルス剤「ダクラタスビル塩酸塩」(ダクルインザ錠60mg)、「アスナプレビル」(スンベプラカプセル100mg)、「ダクラタスビル塩酸塩・アスナプレビル・ベクラブビル塩酸塩」(ジメンシー配合錠)に関しては、重要な基本的注意の項に腎機能障害に関する注意喚起を盛り込み、重大な副作用の項に「腎機能障害」を追記することとした。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
厚労省は、バイエル薬品の「モキシフロキサシン塩酸塩」(アベロックス錠400mg)など、フルオロキノロン系抗菌薬12品目などについて、
「慎重投与」の項に「大動脈瘤または大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤または大動脈解離の既往、家族歴もしくはリスク因子(マルファン症候群等)を有する患者」を追記するよう指示しました。