胆振地震で停電も7割開局~8割が近隣医療機関と連絡
北海道薬剤師会は、昨年9月に震度7を観測した北海道胆振東部地震が発生したことを受け、道内の薬局の対応状況を調査した結果をまとめた。その結果、約7割の薬局が地震による停電時にも開局しており、停電中に近隣の医療機関と連絡を取り合っていた薬局が約8割に上ることが明らかになった。
調査は、地震による大規模停電による薬局の対応状況を把握し、薬局で地震・停電対策を進めるための基礎資料を得ることを目的としたもの。道内の2180薬局に調査票を送付し、1620薬局から回答を得た(回収率74.3%)。
停電が発生したと回答した薬局は1582件(97.65%)に上った。停電が復旧したタイミングについては、地震発生当日の9月6日が397件(25.09%)、翌日が926件(58.53%)、2日後が197件(12.45%)で、ほとんどの薬局は発生から2日後までに復旧していたことが分かった。復旧に1週間以上かかった薬局は6件(0.37%)だった。
停電の時間帯に開局していた薬局は1050件(66.37%)で、開局しなかった・できなかった薬局は523件(33.06%)だった。停電時に開局しなかった理由としては、「機器が使えなかった」が370件(70.75%)で最も多く、「近隣の医療機関が閉じていたから」が328件(62.72%)、「本部からの指示のため」が95件(18.16%)と続いた。
都市部の薬局では、「ビルのセキュリティが解除されなかった」「電動シャッターが開かなかった」などの理由で開局できなかった薬局もあったという。
特に札幌市内では、地下鉄が止まってしまったこともあり、薬局にたどり着けないケースが多かったようだ。
一方、札幌市以外の地域では、ほとんどが自動車通勤だったことから、信号機が消灯している影響で時間はかかったものの、薬局に辿り着くことができ、薬局を開けられた。北海道は各地区が広大であることから、地区単位での対策の必要性が考えられた。
また、停電中に近隣の医療機関・薬局と「連絡を取り合った薬局」が1253件(79.20%)だったのに対し、「連絡を取ろうとしたが取れなかった薬局」は111件(7.02%)にとどまっており、薬局と医療機関のしっかりとした関係が裏付けられた。
ただ、薬局の被害状況などを支部(地域)薬剤師会に連絡した薬局は276件(17.04%)にとどまり、連絡しなかった薬局は1321件(81.54%)と多かった。患者から開いている薬局の問い合わせがあったときに、正確な情報を提供することができなかった課題が浮かび上がった。
停電時、日用品を求める住民が多い中、OTC医薬品の販売に対応した薬局は657件(40.56%)、対応しなかった薬局は569件(35.12%)だった。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
北海道薬剤師会がまとめた北海道胆振東部地震発生時(2018年9月)における道内の薬局対応状況の調査結果が実に興味深いものとなっております。停電時でも約7割の1050件の薬局がオープンしており、停電中にも近隣の医療機関・薬局と連絡を取り合っていた薬局が約8割の1253件です。とかくAIの万能感が喧伝される現代ですが、改めて災害時におけるマンパワーの強さも感じさせられました。