空間を利用して収納スペースを確保しよう
「もっと薬局が広ければいいのに……」。
大量の在庫を見ながら、誰もが一度は思ったことがあるのではないでしょうか? しかし、薬局のスペースを広げるのは無理な話。そこで医薬品の収納場所候補として挙がるのは「空きスペースの活用」です。特に見直してみたいのが「縦の空間」。棚の上やカウンターの上などのスペースにラックを設置することで、使っていなかった「縦の空間」を有効活用できます。
また空きスペースについ押し込んでしまいがちな漢方薬は、箱を番号順にしてラックに並べるとよいでしょう。軟膏や散剤など重量を量る必要がある医薬品は一つのスペースにまとめておくこと。もちろん、普通薬と劇薬に分けておきます。さらに五十音順に並べておけば、薬局スタッフが異動したり、他店舗からのヘルプが来たりしたときにもすぐに調剤できる体制を整えられます。
調剤の必需品! 添付文書を素早く取り出すにはタブレット
医薬品の在庫整理と同時に考えたいのが、添付文書の整理法です。調剤時の必需品であるため、紙の添付文書を残してファイリングしていたり、調剤棚の中で薬と一緒に保管したりしている薬局も多いのではないでしょうか。こうした紙の書類はかさばり、最新版になるたびに更新が必要になります。そこで試してみたいのが、ネット情報を活用する方法です。
添付文書は各製薬会社の公式HPから確認できるようになっており、パソコンやタブレットから手軽に見られるようになっています。最新情報はPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の添付文書情報サービスからまとめて無料で閲覧することも可能です。また、当サイト「薬+読」でも添付文書検索を使用することが可能です。会員登録後、ログインすれば医薬品の画像を閲覧することもできるので、ぜひ、使ってみてください。
「薬+読」添付文書検索
https://yakuyomi.jp/member/drug/
また、より手軽に使うならパソコンではなくタブレットのほうが便利でしょう。薬歴を入力したり、レセコンを操作したりしてパソコンがふさがっていると、添付文書を見たいときに見られなくなってしまいます。しかし専用のタブレットがあれば、そうした心配もありません。見たいときにすぐ見ることのできる添付文書は、本来の添付文書のあり方です。
近年では調剤におけるスピードよりも服薬指導に重点が置かれる傾向にありますが、現場では調剤のスピードを求められるのも事実。調剤を滞りなく行うために、添付文書の管理は早期に見直したいポイントといえるでしょう。
医薬品の収納は「規格違い」に気を付けて
医薬品は収納方法を間違えると、重大なミスを引き起こす場合があります。株式会社ネグジット総研の調査部門であるMMPRが薬剤師に実施したヒューマンエラー防止の取り組み例を、アンケート調査した結果があります。
アンケートでは薬剤師が行っている医薬品収納の工夫として、「調剤棚に規格違いありと明記する」、「医薬品を規格の小さい順にする」、「規格違いを別棚に配置する」など、多くの薬局で医薬品の「規格」に細心の注意を払って収納している様子が垣間見られます。
規格違いの調剤ミスはどこの薬局でも生じる可能性が高く、大事故につながりかねません。以前の職場と今の職場で医薬品の収納方法が異なり、取り間違えてしまうといったこともあるかもしれません。ヒヤリハットを防ぐためにも規格違いの医薬品は特に注意して整理すべきポイントです。
整理整頓をきちんと行い調剤を効率化! 「ミスのない薬局」に
調剤まわりの整理整頓は勤務薬剤師にとって終わることのない永遠の課題。後発医薬品推進の波に乗り、常に増え続ける後発品の在庫も、患者さんのニーズで複数揃えれば、あっという間に既存の調剤棚には収納ができなくなってしまいます
勤務している薬局の動線や医薬品の使用頻度などで収納方法を見直し、薬局のスタッフ同士で密にコミュニケーションを図りながら、収納方法を検討していきたいですね。
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