薬剤師の当たり前は、患者さんの当たり前ではありません
薬剤師からすれば算定するのが当たり前と考える薬学管理料ですが、患者さんにとっては当たり前ではありません。理不尽と感じる患者さんがいることを素直に受けとめて、納得できるように説明をおこなう努力が欠かせません。
相談者さんの指摘通り、薬学管理料は調剤報酬で決められているため、薬剤師であっても自由に足したり引いたりできません。まずは、患者さんの希望や要求に応じて加算するものではないこと、安全に医薬品を使用するために薬剤師が必要と判断した場合に算定するものであることを丁寧に説明しましょう。
薬の副作用や飲み合わせといった服薬に関する問題を解消して安全に薬物治療に取り組んでいただくために、薬のプロである薬剤師が行わなければならない業務であることを誠心誠意伝えます。
それでも理解が得られない場合は、「薬学管理料を算定していないと、服薬中のトラブルが起こった場合などに適切な対応ができません」などと算定しない場合のデメリットについても追加説明するといいでしょう。
患者さんに必要とされる服薬指導を目指しましょう
患者さんは、自分が求めている情報を得られていると感じていれば、算定不要などとは言わないと思いますが、いかがでしょうか。患者さんは一人ひとり必要としている情報や対応が異なります。目の前の患者さんが求めている情報は何かを考え、患者さんに必要とされる服薬指導を目指しましょう。
また、薬剤師と患者さんの間に信頼関係があれば、患者さんは「管理料をとらないで」「薬代を安くして」などとは言い出しにくいはずです。こんなことは実際にはありえないかもしれませんが、「いつも身体や病気のことを考えてアドバイスしてくれてありがとう。どうぞ加算を算定してくださいね」と患者さんから言ってもらえるように、患者さんとの信頼関係を築く努力を続けて欲しいと思います。そのためにも、薬剤師にふさわしい立ち居振る舞いや態度を身につけ、薬や医療に関して日々の研鑽を怠らないことが大切です。頑張ってください。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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