本人が自ら問題に気づくように仕向けましょう
同僚薬剤師のように、いわゆる個人プレーが目立つ人に対して、いくら正論を語ったところですんなり受け入れるとは思えません。そこで、本人が自ら気づくように、視点を変えてアプローチしてみることをおすすめします。
一つ目として、薬剤師やスタッフ間で、意見を出し合う機会を設けてみる。たとえば、朝礼や終礼で、スタッフのいいところを発表する。スタッフ間で「○○してくれてありがとうございます」「□□を準備してもらって、助かりました」などの意見が出る中に、自分のことが全く話題に上がらないことが続けば、自分の言動に問題があるかも、と気づくきっかけになるかもしれません。
患者さん視点で「一人の人にかかる時間が長すぎる」とクレームを伝えたところで、「必要な服薬指導だった」と言われたらそれで終わりなので、同僚の視点で何が喜ばれるか、何が嫌がられるかを知ってもらうのがポイント。薬局の業務はチームプレーで成り立っています。同僚がチームプレーを乱していると気づくように仕向ける方法を考えてみてください。
部下育成を任せたり、薬局のルールを定めたりしましょう
3つ目として、この機会に薬局としての判断基準を作成することも検討しましょう。マニュアル通りの服薬指導がいいわけではありませんが、誰もが等しく患者さんと接するために、患者さんごとに特別な対応をすることは避けるというルールが必要です。たとえば「患者さんは誰であっても等しく大切な存在である。すべての患者さんに分け隔てなく同様の服薬指導を心がける。特定の患者さんに対して他とは異なる特別な対応をするのはNG。その様子を見ている他の患者さんが、同様の対応を求めてくる可能性があるため」というようなルールです。
薬局業務の標準化や仕組み化は、チームワークだけでなくマネジメントにも欠かせません。協働するスタッフ全員が対等で公平な職場環境を作るためにも、最低限のマニュアルや判断基準を用意することが大切です。
それでも、同僚薬剤師がどうしても患者さんの希望を聞きたいという場合、服薬指導とは別に、患者さんの少ない時間帯や曜日に再来局していただいて、話を聞いたり対応したりするようすすめてみてはいかがでしょうか。実際のところ、患者さんからすれば、親切にしてもらえればうれしいのは当然でしょう。他の患者さんにも同僚にも迷惑がかからない状況でゆっくり対応すれば、たとえ後日対応でも十分喜ばれると思います。
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相談者さんが直接指摘するのが難しいと感じたら、上司やほかの同僚にも相談してみましょう。一人で抱え込まず、薬局全体がよりよい患者さんサービスを提供できる環境を整えてほしいと思います。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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