Q167 病院実習中の薬学生に話をしてくれない患者さん
Q167 病院実習中の薬学生に話をしてくれない患者さん
緊張や不安などの胸の内が患者さんに伝わっているのかも
相談者さんは、患者さんが話してくれないのは「自分が薬学生だから」だと思っているようですが、本当にそうでしょうか。患者さんは、薬剤師の姿勢や気持ちを敏感に察するものなので、相談者さんの緊張や不安が伝わっているのかもしれません。
笑顔で明るく元気に話していますか。患者さんの目を見て話しているでしょうか。実習中で色んなことに自信がない状況では、たとえ言葉が丁寧でも表情がかたくなっているかもしれません。自信はあとから付いてくるもの。まずは、笑顔でハキハキと元気よく声をかけてみて欲しいと思います。
相談内容を見て、少し気になったことがあります。患者さんのことを「担当患者」、体調や薬のヒアリングのことを「聞き取り」と表現しています。確かに「ヒアリング=聞き取り」ですが、患者さんへの思いやりや感謝の気持ちが伝わってこないように思います。
例えばヒアリングは、患者さんに「教えていただく」というスタンスで臨み、「質問に答えてくださってありがとうございます」という感謝の気持ちが欠かせません。「毎回行かされる」という言葉からは、受け身の姿勢も伝わってきます。「嫌々行かされている」という相談者さんの胸の内が患者さんに伝わって、 そっけない対応に終始してしまうことも考えられます。
相談者さんには、「薬学生だから」と言い訳せず、どうすれば患者さんが話してくれるようになるかを、前向きに考えて欲しいと思います。
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薬剤師の接遇マナー・テクニック Q.11 会話を嫌がる患者さん
指導薬剤師の服薬指導をよく観察しましょう
実際、薬剤師になかなか話をしてくれない患者さんはいます。目も合わせてくれない患者さんもいます。それでも、まずは自分から心を開いて挨拶し、患者さんが返事をしてくれるまで何度でも声をかけ続けましょう。
根気強くアプローチし続けて患者さんの心が動けば、きっと話してくれるようになるはず。きっかけはいろいろあると思いますが、もしかしたら相談者さんの熱意かもしれないし、明るさかもしれません。
相談者さんには、指導薬剤師の服薬指導をよく観察する、ということにも取り組んでみてほしいです。患者さんに話しかける表情や姿勢、声の大きさやトーン、話すスピード、はじめの挨拶や声の掛け方など、自分の服薬指導と何が違うのかを観察してみてください。
違いがあれば、どんどん真似することから始めてみましょう。指導の内容はもちろん大切ですが、指導する時の雰囲気や患者さんと向き合う気持ちが変わるだけで、患者さんの反応も変わってくると思います。
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薬剤師の接遇マナー・テクニック Q.65 服薬指導時の言葉の選び方
元気がよくて愛想もいい学生さんが患者さんの人気者になることがあります。患者さんは、「薬学生だから」と相手にしないのではなく、話しやすい人、信頼できそうだと感じる人を選んで話をしているのかもしれません。
先輩薬剤師たちも同じように悩んできたはずで、最初からすんなり患者さんと笑って話せたという人は一握りではないでしょうか。今の経験は将来薬剤師になった時に必ず役に立ちます。患者さんに信頼される薬剤師を目指して頑張ってください!
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株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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