Q175 敬語の分かりやすい教え方とは?
Q175 敬語の分かりやすい教え方とは?
患者さんとのコミュニケーションが成り立つことが大前提です
接遇とはおもてなしの心で接すること。薬局では、患者さんが安心して安全に薬物治療に取り組めるよう思いやりの気持ちを持ってサポートすること、と言い換えることもできそうです。
接遇といえば言葉遣い、言葉遣いといえば敬語をイメージされる方も多いと思いますが、ただ敬語を使いさえすればいいというものでもありません。敬語は相手に敬意や気遣いを伝える言葉ですが、薬局では患者さんとのコミュニケーションが成り立つことが大前提だからです。
そこで考えてみてほしいのですが、相談に出てくるスタッフの患者さんとのコミュニケーションはいかがでしょうか。スムーズにやりとりができていますか?
たとえ表現が分かりづらかったり、多少敬語が間違っていたりしたとしても、患者さんが笑顔で対応してくれているのであれば、心配するほどの問題はないように推察できます。もし患者さんに失礼な印象を与えていたとすれば、患者さんの表情や態度に現れるはずだからです。
本当に大切なのは、患者さんへの思いやりがしっかり伝わっているかどうか。たとえ敬語に誤りがあったとしても、患者さんとの関係性を踏まえた上で良好なコミュニケーションができていることが重要なのです。
相談者さんも、丁寧に対応しようという意思は感じるということですから、正しい敬語の使い方をこと細かに説明するよりも、スタッフが今以上に敬語を学びたいと思うように仕向けていくことが、手っ取り早い教え方かもしれません。
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薬剤師の接遇マナー・テクニック Q68 薬剤師が気をつけたい敬語とは?
敬語を使うメリットや良い影響を伝えていきましょう
敬語で大切なのは、相手に合った言葉を選ぶこと。丁寧語、尊敬語、謙譲語を正しく使うことはもちろん大切ですが、もっと大切なのは目の前の患者さんが理解しやすい言葉を使うことです。そのためには、丁寧語、尊敬語、謙譲語を正しく覚えた上で、患者さんの話す言葉をしっかり聞いて、臨機応変に使い分けることが必要になります。このあたりの感覚は、一覧表を見ながら説明するだけでは、伝わりにくいかもしれません。
敬語を教えるのも覚えるのも、そう簡単なことではありません。これも私がいつも研修でお伝えしていることですが、敬語は実際に声に出して何度も練習して初めて身につくものです。私自身、苦手な言い回しは、噛まずに言えるようになるまで何度も何度も繰り返し声に出して練習しました。敬語を覚えるには、本人が「敬語を覚えよう」「使いこなせるようになろう」と思い、声に出して実際に使ってみることが肝心なのです。
敬語の覚え方、教え方は、本を読んで覚える人、先輩の言葉遣いを真似て身につける人など人それぞれで、正解はないように思います。教育する立場からすれば、適切な敬語を使ってほしいと思うのは当然のこと。敬語を使いこなせるようになるとこんなにコミュニケーションが楽しくなるよ、などと実体験を交えて伝えてみると、興味を持つきっかけになるかもしれません。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
※投稿者の特定を避けるため、一部内容を変更して掲載しております。