女性薬剤師の年収は、結婚・出産・育児といったライフイベントによる働き方の変化の影響を受けやすいといえます。薬剤師は専門性の高い国家資格職であり、比較的安定した収入が期待できる職業ですが、実際の年収の相場は年齢や勤務地によって異なります。本記事では、女性薬剤師の平均年収について、20代・30代・40代・50代の年齢別、都道府県別に紹介するとともに、職場ごとの女性薬剤師の人数割合、女性薬剤師のキャリアプランの立て方についてお伝えします。

- 1.女性薬剤師の平均年収
- 1-1.女性薬剤師の平均年収は他職種と比べて高い?低い?
- 2.年齢別の女性薬剤師の平均年収
- 2-1.20代
- 2-2.30代
- 2-3.40代
- 2-4.50代
- 3.都道府県別の女性薬剤師の平均年収
- 3-1.北海道・東北地方
- 3-2.関東地方
- 3-3.中部地方
- 3-4.関西・近畿地方
- 3-5.中国・四国地方
- 3-6.九州・沖縄地方
- 4.女性薬剤師の人数割合
- 5.女性薬剤師のキャリアプランの立て方
- 5-1.具体的なキャリアアップの目標を立てる
- 5-2.就業先の支援制度について確認する
- 5-3.ライフイベントに合わせた働き方を検討する
- 6.女性薬剤師が長く活躍するためのキャリア設計とは?
1.女性薬剤師の平均年収
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、女性薬剤師の平均年収は555万8,400円です。一方、男性薬剤師の平均年収は651万1,200円とされており、女性薬剤師より100万円ほど高くなっています。
| 性別 | きまって支給する 現金給与額 |
年間賞与その他 特別給与額 |
平均年収 |
|---|---|---|---|
| 女性 | 39万5,800円 | 80万8,800円 | 555万8,400円 |
| 男性 | 47万2,500円 | 84万1,200円 | 651万1,200円 |
※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出
1-1.女性薬剤師の平均年収は他職種と比べて高い?低い?
医療・福祉関連職種の女性の平均年収は、以下のとおりです。
| 職種 | きまって支給する 現金給与額 |
年間賞与その他 特別給与額 |
平均年収 |
|---|---|---|---|
| 医師 | 81万1,400円 | 65万1,600円 | 1,038万8,400円 |
| 歯科医師 | 54万500円 | 67万2,400円 | 715万8,400円 |
| 獣医師 | 50万4,900円 | 46万3,300円 | 652万2,100円 |
| 薬剤師 | 39万5,800円 | 80万8,800円 | 555万8,400円 |
| 助産師 | 39万9,600円 | 101万400円 | 580万5,600円 |
| 看護師 | 36万2,300円 | 83万1,300円 | 517万8,900円 |
| 准看護師 | 29万3,100円 | 63万7,000円 | 415万4,200円 |
| 診療放射線技師 | 33万400円 | 82万5,200円 | 479万円 |
| 臨床検査技師 | 32万9,800円 | 89万7,600円 | 485万5,200円 |
| 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 視能訓練士 |
29万7,000円 | 69万9,700円 | 426万3,700円 |
| 歯科衛生士 | 29万7,400円 | 48万4,300円 | 405万3,100円 |
| 栄養士 | 27万1,400円 | 64万9,800円 | 390万6,600円 |
| その他の 保健医療従事者 |
26万1,500円 | 55万3,400円 | 369万1,400円 |
※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出
女性薬剤師の平均年収は、他職種の女性の平均年収と比べると、比較的高い水準であることが分かります。
2.年齢別の女性薬剤師の平均年収
続いて、年齢別の女性薬剤師の平均年収を紹介します。
2-1.20代
| 年齢 | きまって支給する 現金給与額 |
年間賞与その他 特別給与額 |
平均年収 |
|---|---|---|---|
| 20~24歳 | 31万8,800円 | 9,500円 | 383万5,100円 |
| 25~29歳 | 36万4,700円 | 57万1,200円 | 494万7,600円 |
※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出
2-2.30代
| 年齢 | きまって支給する 現金給与額 |
年間賞与その他 特別給与額 |
平均年収 |
|---|---|---|---|
| 30~34歳 | 38万7,500円 | 75万900円 | 540万900円 |
| 35~39歳 | 36万5,200円 | 104万8,000円 | 543万400円 |
※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出
2-3.40代
| 年齢 | きまって支給する 現金給与額 |
年間賞与その他 特別給与額 |
平均年収 |
|---|---|---|---|
| 40~44歳 | 39万2,900円 | 102万3,000円 | 573万7,800円 |
| 45~49歳 | 42万1,000円 | 98万4,300円 | 603万6,300円 |
※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出
2-4.50代
| 年齢 | きまって支給する 現金給与額 |
年間賞与その他 特別給与額 |
平均年収 |
|---|---|---|---|
| 50~54歳 | 49万500円 | 98万1,500円 | 686万7,500円 |
| 55~59歳 | 47万9,600円 | 92万1,800円 | 667万7,000円 |
※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出
3.都道府県別の女性薬剤師の平均年収
前述のとおり、厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によれば、全国の女性薬剤師の平均年収は555万8,400円とされています。ここでは、都道府県別の女性薬剤師の平均年収について見ていきましょう。
3-1.北海道・東北地方
| 都道府県 | きまって支給する 現金給与額 |
年間賞与その他 特別給与額 |
平均年収 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 33万5,400円 | 79万4,200円 | 481万9,000円 |
| 青森 | 39万8,700円 | 65万1,300円 | 543万5,700円 |
| 岩手 | 40万9,300円 | 77万7,900円 | 568万9,500円 |
| 宮城 | 37万9,700円 | 95万6,000円 | 551万2,400円 |
| 秋田 | 45万700円 | 126万7,800円 | 667万6,200円 |
| 山形 | 43万2,900円 | 96万3,000円 | 615万7,800円 |
| 福島 | 38万9,900円 | 101万1,200円 | 569万円 |
※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出
参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別 表番号3|政府統計の総合窓口 e-Stat
3-2.関東地方
| 都道府県 | きまって支給する 現金給与額 |
年間賞与その他 特別給与額 |
平均年収 |
|---|---|---|---|
| 茨木 | 39万8,800円 | 123万100円 | 601万5,700円 |
| 栃木 | 43万400円 | 135万4,400円 | 651万9,200円 |
| 群馬 | 33万9,000円 | 89万2,800円 | 496万800円 |
| 埼玉 | 37万200円 | 67万200円 | 511万2,600円 |
| 千葉 | 45万1,300円 | 66万6,300円 | 608万1,900円 |
| 東京 | 38万1,900円 | 102万8,700円 | 561万1,500円 |
| 神奈川 | 38万5,200円 | 78万9,800円 | 541万2,200円 |
※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出
参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別 表番号3|政府統計の総合窓口 e-Stat
3-3.中部地方
| 都道府県 | きまって支給する 現金給与額 |
年間賞与その他 特別給与額 |
平均年収 |
|---|---|---|---|
| 新潟 | 42万6,500円 | 80万4,300円 | 592万2,300円 |
| 富山 | 37万8,700円 | 90万9,900円 | 545万4,300円 |
| 石川 | 43万5,600円 | 92万1,300円 | 614万8,500円 |
| 福井 | 37万6,600円 | 84万700円 | 535万9,900円 |
| 山梨 | 48万4,700円 | 8万5,600円 | 590万2,000円 |
| 長野 | 50万1,000円 | 91万2,900円 | 692万4,900円 |
| 岐阜 | 39万5,000円 | 127万7,900円 | 601万7,900円 |
| 静岡 | 41万2,800円 | 121万800円 | 616万4,400円 |
| 愛知 | 41万1,500円 | 48万3,100円 | 542万1,100円 |
※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出
参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別 表番号3|政府統計の総合窓口 e-Stat
3-4.関西・近畿地方
| 都道府県 | きまって支給する 現金給与額 |
年間賞与その他 特別給与額 |
平均年収 |
|---|---|---|---|
| 三重 | 43万700円 | 102万600円 | 618万9,000円 |
| 滋賀 | 38万3,900円 | 79万7,900円 | 540万4,700円 |
| 京都 | 36万3,300円 | 89万1,600円 | 525万1,200円 |
| 大阪 | 39万7,000円 | 84万5,500円 | 560万9,500円 |
| 兵庫 | 35万9,000円 | 98万1,300円 | 528万9,300円 |
| 奈良 | 36万7,500円 | 117万5,600円 | 558万5,600円 |
| 和歌山 | 42万4,400円 | 131万9,200円 | 641万2,000円 |
※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出
参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別 表番号3|政府統計の総合窓口 e-Sta
3-5.中国・四国地方
| 都道府県 | きまって支給する 現金給与額 |
年間賞与その他 特別給与額 |
平均年収 |
|---|---|---|---|
| 鳥取 | – | – | – |
| 島根 | 33万2,600円 | 105万7,700円 | 504万8,900円 |
| 岡山 | 33万600円 | 78万9,500円 | 475万6,700円 |
| 広島 | 51万1,400円 | 60万6,700円 | 674万3,500円 |
| 山口 | 41万3,800円 | 142万2,200円 | 638万7,800円 |
| 徳島 | 41万2,700円 | 90万5,100円 | 585万7,500円 |
| 香川 | 44万200円 | 110万8,200円 | 639万600円 |
| 愛媛 | 45万9,400円 | 104万400円 | 655万3,200円 |
| 高知 | 37万8,000円 | 61万5,800円 | 515万1,800円 |
※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出
参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別 表番号3|政府統計の総合窓口 e-Stat
3-6.九州・沖縄地方
| 都道府県 | きまって支給する 現金給与額 |
年間賞与その他 特別給与額 |
平均年収 |
|---|---|---|---|
| 福岡 | 33万9,600円 | 45万3,000円 | 452万8,200円 |
| 佐賀 | 43万2,600円 | 75万5,900円 | 594万7,100円 |
| 長崎 | 39万4,300円 | 76万6,700円 | 549万8,300円 |
| 熊本 | 43万5,700円 | 135万4,600円 | 658万3,000円 |
| 大分 | 38万6,500円 | 74万200円 | 537万8,200円 |
| 宮崎 | 37万2,100円 | 11万400円 | 457万5,600円 |
| 鹿児島 | 47万6,200円 | 20万8,000円 | 592万2,400円 |
| 沖縄 | 37万3,100円 | 47万4,700円 | 495万1,900円 |
※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出
参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別 表番号3|政府統計の総合窓口 e-Stat
4.女性薬剤師の人数割合
厚生労働省の「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、薬剤師の男女別の人数や、職場ごとの男女の割合は以下とされています。
| 性別 | 総数 | 薬局 | 病院 | 診療所 | 介護保険施設 |
|---|---|---|---|---|---|
| 男女 | 323,690人 | 190,735人 | 56,585人 | 5,878人 | 1,091人 |
| 男 | 124,183人 | 66,876人 | 20,734人 | 769人 | 283人 |
| 女 | 199,507人 | 123,859人 | 35,851人 | 5,109人 | 808人 |
参考:医師・歯科医師・薬剤師統計 令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計 薬剤師| 政府統計の総合窓口 e-Stat
| 性別 | 大学 | 医薬品関係企業 | 衛生行政機関 または保健衛生施設 |
その他 | 無職 |
|---|---|---|---|---|---|
| 男女 | 4,902人 | 37,086人 | 6,927人 | 8,506人 | 11,980人 |
| 男 | 3,508人 | 21,552人 | 3,633人 | 4,165人 | 2,663人 |
| 女 | 1,394人 | 15,534人 | 3,294人 | 4,341人 | 9,317人 |
参考:医師・歯科医師・薬剤師統計 令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計 薬剤師| 政府統計の総合窓口 e-Stat
薬局や病院・診療所、介護施設では、女性の方が男性より割合が高いですが、大学や医薬品関係企業については男性の方が女性より割合が高いことが分かります。行政機関やその他については男女の割合がほぼ同等となっていますが、無職の薬剤師は女性が多くなっています。
5.女性薬剤師のキャリアプランの立て方
女性薬剤師が長期的に活躍するためには、ライフステージに応じた柔軟なキャリア設計が重要です。ここでは、女性薬剤師のキャリアプランの立て方についてお伝えします。
5-1.具体的なキャリアアップの目標を立てる
女性薬剤師が長期的に活躍するには、明確なキャリアアップの目標を設定することが重要です。例えば「認定薬剤師資格の取得」「在宅医療への参画」「管理職への昇進」など、自分の強みや興味に合った方向性を見極めましょう。薬剤師としての専門性を高めることで、職場内で評価されやすくなります。
また、必要に応じて女性管理職の割合が高い企業への転職も選択肢となるでしょう。短期・中期・長期の目標を立て、定期的に振り返ることで、計画的なキャリア形成が可能になります。
5-2.就業先の支援制度について確認する
育児や介護などのライフイベントに直面した女性薬剤師にとって、職場の支援制度は薬剤師としてのキャリアを継続するためのカギとなります。
育児休業、時短勤務、復職支援、資格取得補助などは、制度の有無だけでなく、実際に利用しやすい環境であるかも確認することが大切です。
上記のような制度を積極的に活用できる職場環境であれば、仕事と家庭の両立がしやすくなるため、薬剤師としてのスキル維持やキャリアアップに向けた取り組みも行いやすいでしょう。
5-3.ライフイベントに合わせた働き方を検討する
女性薬剤師としてのキャリアを考える上では、結婚・出産・育児・介護などのライフイベントに応じて、働き方を柔軟に選ぶのも選択肢のひとつです。
フルタイム勤務からパート勤務への切り替えのほか、在宅勤務が選べたり、夜勤が避けられたりする職場への転職など、ライフスタイルに合った働き方、働く場所を選ぶことで、無理なくキャリアを継続できます。
将来的な復職やスキル再構築も視野に入れ、情報収集や自己研鑽を続けることが、安定したキャリア形成につながります。
6.女性薬剤師が長く活躍するためのキャリア設計とは?
女性薬剤師が安定して働き続けるには、丁寧にキャリア設計をすることがカギとなります。さまざまなライフイベントが発生した際、年収の維持・向上を優先すると、家庭やプライベートとの両立が難しくなることもあるでしょう。
ある程度の収入を得ることも重要ですが、状況に合わせて働き方や働く場所を柔軟に選択しながらキャリアを継続させることも、長く活躍するための選択肢のひとつです。
無理のない範囲で、薬剤師としての専門性を高めながら、自分らしい働き方を実現することが、結果的には長期的に安定したキャリアの形成や、仕事のやりがいにつながるでしょう。

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。
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