インタビュー 公開日:2025.02.14 インタビュー

 

薬剤師・薬局の仕事は、一般の利用者の立場からは分かりにくい部分も多いかもしれません。薬剤師・薬局に関する素朴な疑問について、薬剤師さんに詳しく解説してもらいました!

 

「薬局」と「ドラッグストア」の違いは何?

 

薬剤師がいて調剤室のあるところが薬局。しかし、一般用医薬品を購入するだけならほぼ同じ

医師の処方で出された薬を受け取る薬局と、薬はもちろん食料品や生活雑貨まで扱っているドラッグストア。違うようでいて明確な差がないような気もして、「どこが違うのだろう?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

 

結論から言うと、調剤室があって薬剤師のいるところが薬局。しかし、一般用医薬品を購入するだけなら、ほぼ同じと考えて問題はありません。

 

法律において、薬局とは、薬剤師が販売や授与のために、調剤したり、薬剤や医薬品の適正な使用のために必要な情報を提供したり、薬学的知見をもとに指導したりする場所だと定められています。

 

参照:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第二条(定義)第十二項|e-Gov 法令検索

 

あまりなじみはないと思いますが、薬局では自身の薬局でしか販売できない「薬局製造販売医薬品」(薬局製剤)を取り扱うことが可能です。分かりやすい例で言うと、漢方薬局が扱う煎じ薬が薬局製造販売医薬品です。

 

参照:「薬局製剤」ホームページ|厚生労働省

 

今のような医薬分業(処方を医師が、調剤を薬剤師が、それぞれ分業して行う制度)になる前は、調剤薬局のような保険調剤を手がけず、したがって医師を介さずに、来局する患者さんの相談を薬剤師が直接受け、自らの裁量で薬局製剤を販売する薬局がそれなりにありましたが、すっかり少なくなってしまった印象があります。

 

ちなみに調剤薬局は、かかりつけ薬局やかかりつけ薬剤師機能の他に健康サポート薬局機能も持ち、薬に関する相談だけでなく健康に関することや介護用品などに関する相談にも応じてくれます。

 

参照:健康サポート薬局とは?|日本薬剤師会

 

では、ドラッグストアは薬局なのかというと、薬局であるドラッグストアと薬局でないドラッグストアがあるというのが正解です。

 

薬局でないドラッグストアは、店舗販売業の許可を得て営業しています。店舗販売業の許可によるドラッグストアで販売できるのは、要指導医薬品と一般用医薬品のみです。このようなドラッグストアは「薬局」の名称は使えませんが、要指導医薬品を販売できる薬剤師はいます。

 

参照:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第七章 医薬品、医療機器及び再生医療等製品の販売業等 第一節 医薬品の販売業|e-Gov 法令検索
参照:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第六条(名称の使用制限)|e-Gov 法令検索

 

構造設備の面から言うと、薬局には調剤のできる「調剤室」が設置されています。調剤室以外で調剤することは原則として認められていません。一方、店舗販売業のドラッグストアは、そもそも調剤が許されておらず、調剤室は設置されていません。

 

参照:薬局等構造設備規則 第一条 十、第三条|厚生労働省

 

薬局とドラッグストアでは、取り扱える医薬品の他、構造設備や勤務しているスタッフの点でも違いがありますが、薬の専門家がいるという点では同じです。薬や健康に関することで困ったときは、どうぞ気軽に相談してください。

藤野紗衣さんのプロフィール画像
執筆/藤野紗衣(ふじの さえ)

東北大学薬学部卒業後、ドラッグストアや精神科病院、一般病院に勤務。現在はライターとして医療系編集プロダクション・ナレッジリングのメンバー。専門知識を一般の方に分かりやすく伝える、薬剤師をはじめ働く人を支えることを念頭に、医療関連のコラムや解説記事、取材記事の制作に携わっている。
ウェブサイト:https://www.knowledge-ring.jp/