「ミカトリオ」再び継続審議、委員から疑義
薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は27日、サノフィの高脂血症治療薬「プラルエント皮下注」など6件の承認を審議した結果、4件を了承したが、継続審議となっていた日本ベーリンガーインゲルハイムの高血圧治療用配合剤「ミカトリオ」については、委員から疑義が示され、引き続き継続審議となった。
審議事項
▽ヘマンジオルシロップ小児用0.375%(マルホ):有効成分のプロプラノロール塩酸塩を含有する非選択的β遮断薬で、乳児血管腫を効能・効果とする。用法・用量は、1日1~3mg/kgを2回に分けて、食事または授乳と共にもしくは食直後または授乳直後に経口投与する。
希少疾病用医薬品で再審査期間は10年。海外では乳児血管腫を適応として、欧米で承認されている。
▽ビムパット錠50mg、同100mg(ユーシービージャパン):新有効成分のラコサミドを含有し、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作に対する抗てんかん薬との併用療法を効能・効果とする。類薬には、トピナ錠、イーケプラ錠などがある。
用法・用量は、1日100mgより投与を開始し、その後1週間以上の間隔を空けて増量し、維持用量を1日200mgとするが、いずれも1日2回に分けて経口投与する。
再審査期間は8年。海外では欧米など69カ国・地域で承認されている。
▽プラルエント皮下注75mgペン、同150mgペン、同75mgシリンジ、同150mgシリンジ(サノフィ):新有効成分のアリロクマブ(遺伝子組み換え)を含有する抗PCSK9抗体。家族性高コレステロール血症、心血管イベントの発現リスクが高く、スタチンで効果不十分な高コレステロール血症を効能・効果とする。スタチンなど既存治療に併用して投与する。類薬には、レパーサがある。
用法・用量は、75mgを2週に1回皮下投与する。再審査期間は8年。海外では、欧米など33カ国・地域で承認されている。
▽デュオドーパ配合経腸用液(アッヴィ):有効成分のレボドパとカルビドパ水和物を含有するパーキンソン病治療用配合薬。レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病症状の日内変動(ウェアリングオフ現象)の改善を効能・効果とする。類薬には、メネシット配合錠などがある。
用法・用量は、投与前の経口レボドパ量に応じて初回の投与量を決定し、朝の投与および持続投与に分けて、胃瘻を通じて空腸に直接投与する。通常、朝の投与として5~10mLを10~30分かけて投与した後に、2~6mL/時間で持続投与する。
希少疾病用医薬品で再審査期間は10年。海外では欧米を含む48カ国で承認されている。投与に当たって使用する輸液ポンプなどは既に承認済み。
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なお、アストラゼネカの抗血小板薬「ブリリンタ錠」については、臨床試験ごとにデータのばらつきが見られたことに加え、効能・効果のアスピリンと併用する他の抗血小板薬の投与困難な患者数に疑義が示され、継続審議となった。次回の部会で専門医を招き、医療上の必要性について説明を受けた上で、承認の可否を判断する。
また、4月の部会で継続審議となっていた日本ベーリンガーインゲルハイムの高血圧治療用配合剤「ミカトリオ配合錠」については、配合のメリットがある一方で、用量が限定されてしまうとのデメリットが指摘され、継続審議となった。
次回の部会で、専門医を招き、医療上の必要性について説明を受けた上で、承認の可否を審議する。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2016年5月27日の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会で、高脂血症治療薬「プラルエント皮下注」など4件が了承されました。継続審議となっていた抗血小板薬「ブリリンタ錠」、高血圧治療用配合剤「ミカトリオ」は次回部会で専門医の説明を受けた上で、再度承認の可否を審議するということです。
※2016年5月31日(火)、薬事日報社の記事訂正に基づき、見出しと本文を修正しました。