「薬剤助手」が病棟業務支援‐クラーク的な事務作業担当
五日市記念病院で試行
五日市記念病院(広島市)の臨床薬剤科は今年4月から、病院薬剤師のさらなる職能発揮を目的にパートナー(薬剤助手)の活用を試行している。薬剤管理指導業務に同行してもらい、薬剤師と患者の会話をその場でパソコンを使ってメモすることなど、クラーク的な事務作業を委託。業務の効率化につながり、薬剤管理n指導業務に要する時間を試行前に比べて短縮できた。同業務の算定件数も大幅に伸びたという。
同院臨床薬剤科は以前から数人のパートナーを雇用。伝票整理や薬の取り揃えなどの業務を担当してもらっていた。こうした中、「薬剤師の病棟業務には事務作業が多い。本来の業務に時間を割くために、パートナーの積極的な活用を考えた」(荒川隆之臨床薬剤科長)。薬剤部門内だけでなく、病棟業務にもパートナーを活用するため試行を開始した。
定期内服の配薬が多い金曜日を対象に、1人の薬剤師の患者訪問にパートナーが同行。薬剤師がベッドサイドで服薬指導を行っている間、パートナーは薬剤師と患者の会話や指示内容をパソコンで入力し、業務を支援した。
その結果、服薬指導や指導内容の記録など薬剤管理指導1件に費やした薬剤師の業務時間は、試行前は25分だったが、試行後は19分に短縮できた。パートナーの業務時間が新たに発生したが、その時間は1件あたり2分。合計しても1件あたりの業務時間は21分で、試行前より短くなっていた。
薬剤管理指導に薬剤師が費やす業務時間は1件あたり6分短くなった。月間換算では12.6時間の削減につながり、浮いた時間を他の業務に回せるようになった。薬剤管理指導業務の件数も大幅に増加。試行前の算定件数は月間平均81件だったが、試行後は月間平均126件に伸びた。
業務時間を短くできたのは、パートナーが作成したメモによって、薬剤師が指導内容を振り返ったり、問題点を抽出したりする作業が容易になったため。看護師など他職種からの電話をパートナーが受けたりするなど、服薬指導の中断が減ったことも大きいという。
パートナーにパソコン操作を委ねることで、薬剤師は患者の目線に合わせて会話し、状態を観察できるようになるなど、業務の質も向上した。
このほか、パートナーは担当薬剤師が休んだ時、代わりに出向く薬剤師に内服管理方法や服薬指導時の注意点を伝える役割も担えるという。
荒川氏は「薬剤師が業務に集中できる環境が整い、薬剤管理指導業務の時間を短くできた。今後、他の薬剤師の患者訪問に同行してもらうことも検討したい」と語る。
パートナーには、日めくり服薬カレンダーの作成業務の一部も担当してもらっている。薬剤師の業務負担が大きいため、試行前は作成件数が少なかったが、試行後は件数が大幅に増加した。退院後を見据えた患者の服薬支援の充実につながったという。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
広島の五日市記念病院では、薬剤師のパートナーとなる「薬剤助手」を雇用。
服薬指導中の会話を「薬剤助手」がPCに入力するなど業務をサポートしています。
これにより薬剤管理指導の時間が1件あたり6分の時短、
1カ月で12.6時間の削減につながったそう。