薬剤師会

【中山薬剤管理官】分割調剤、趣旨に沿った対応を「地域の薬局に促す」が原則

薬+読 編集部からのコメント

厚生労働省の中山薬剤管理官がインタビューに応じ、診療・調剤報酬の改定後の分割調剤について、趣旨に沿った運用で地域の行きたい薬局にいってもらえるよう促すのが原則、と説明しました。
また、今後も薬局バッシングが続くことが予想されるため、薬局の機能を「みえる化」する努力を個々の薬剤師に求めました。

中山智紀薬剤管理官

厚生労働省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官は、本紙のインタビューに応じ、2018年度診療・調剤報酬改定で処方箋様式を見直して医師からの指示や手続きの明確化・合理化を図った「分割調剤」について、「地域でかかりつけになっている薬局で薬をもらいたいという患者さんの要望があれば、初回からその薬局に行ってもらうよう促すのが原則」と説明し、制度の趣旨に沿った対応を求めた。また、今後も薬局に対して「コストに見合ったサービスを提供できているのか」といった疑問が投げかけられることが想定されるため、「地域の薬局が大学などと連携して論文をまとめるなどして、薬局の機能をできるだけ見えるようにする取り組みを進めてもらいたい」と語った。

 

18年度改定では、分割の回数を3回までとし、医療機関は新たに「分割指示に係る処方箋」を発行して、患者が薬局に提出するようにした。

 

その処方箋を受け取った薬剤師は、継続的な管理・指導を行う観点から、原則として、分割指示に係る処方箋の交付を受けた患者に対しては、処方箋を受け付ける前に、処方箋の1回目の調剤から調剤済みになるまでを通して、同じ薬局に処方箋を持参すべきといった旨の説明を患者に行うことになっている。

 

さらに、次に調剤を受ける予定を確認し、その時期に患者が来なければ電話などで状況を確認することなども求めている。

 

中山氏は、分割調剤について、「たとえ患者さんが初回に門前薬局に分割指示の処方箋を持っていったとしても、2回目以降に自宅や職場の近くにあるかかりつけ薬局で薬をもらいたいという要望があれば、初回からその薬局に行ってもらうよう促すというのが原則になる」と説明。

 

中山氏は、「薬局側の都合ではなく、患者さんの都合や利便性をまず考えなければならない」と強調。そのために、「患者さんが行きたいと思う薬局に促す仕組みにしたし、そこは留意事項でしっかりと明確化している」と述べ、「制度の趣旨に沿った適切な対応」を求めた。

 

「薬剤服用歴管理指導料」において、「今後の継続的な薬学的管理および指導の留意点」を新たに記載することを求め、点数を3点上げた理由については、「これまでは、記録のための記録になりがちだったが、薬学的管理や指導を過去の記録に基づいて、点ではなく線で行ってもらうようにしたかった」と説明。薬歴管理料は、「ほぼ全ての処方箋についてくる点数」で、「プラス改定の大きな要因になっている部分」でもあるため、「しっかり取り組んでほしい」と語った。

 

地域の薬局と大学が連携しエビデンスの集積を

 

昨年11月、政府の行政改革推進会議が「院外処方は、院内処方に比べて3倍のコスト」などとする資料を提示し、現在の薬局が果たしている機能に照らし合わせて院内より高い料金を支払うことの費用対効果を疑問視した「秋の行政事業レビュー」についても触れ、「反論するための材料が不十分で、担当者として相当なプレッシャーを感じた」との心情も吐露した。

 

そうした会議の場では、「しっかり反論できる材料が必要」と指摘。行政事業レビューの場では、数少ない反論材料として、高血圧や糖尿病患者(内服薬28日分)を例に、薬局の薬剤師が薬歴管理や服薬指導を行うことによって、2608円の医療費適正効果と315円の重複投薬・相互作用の防止効果が期待できるとのデータを示したが、「福岡市薬剤師会と大学が連携してまとめた論文」から引用したもので、「そうしたデータがあると、救われる時がある」と語った。

 

今後も薬局へのバッシングが収まるとは考えにくいため、「ぜひ、地域の薬局は大学などと連携して、薬局の機能を見える化する取り組みを進めて、自ら反論する材料を用意しておいてもらいたい」と要請。

 

ただ、こうした取り組みは、限られた一部の薬剤師が取り組んだところで「積み重なっていかない」ことから、「一人ひとりが自分のことだと思って地道に取り組んでほしい」と語った。

 

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出典:薬事日報

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