【調査】処方変更の疑義照会1.29%‐薬剤師、安全管理の一翼担う
神奈川県薬と新潟薬大が調査
神奈川県薬剤師会の医療介護保険委員会が県内の63薬局を対象に行った「重複投薬・相互作用等防止加算」(30点)の算定状況や疑義照会率に関する2017年度調査(速報値)で、同加算の算定率が前年度より0.28ポイント増の1.29%に上ったことが分かった。同加算は、薬剤師が薬学的知見に基づく判断で医師に疑義照会を行い、実際に処方変更につながったケースを評価するもので、処方変更を必要とする疑義照会が2年連続で概ね1%の比率で発生していたことから、「薬剤師は1%の確率で発生する可能性のあるインシデントを防ぐために、処方チェックをする安全管理の一翼を担っている」と総括している。
調査は、神奈川県薬と新潟薬科大学(小林大高教授、高松謙吾特定研究員)が共同で実施。今年7月の1カ月間、県内76薬局を対象とし、63薬局から回答(回収率85.5%)を得て、11万4254枚(薬局平均1813枚)の処方箋に関する情報を分析した。
薬剤師から医師への疑義照会率は、前年調査から1.81ポイント減の3.11%だったが、重複投薬等防止加算を算定した処方箋は1476枚(1.29%)に上った。
処方変更の理由として最も多かったのは「薬学的知見」によるもの(27.90%)で、「残薬調製」(22.57%)、「投薬時のカウンセリングによる変更」(10.92%)、「薬歴等を踏まえた変更」(10.85%)、「重複投与」(9.72%)と続いた。
今回は、処方変更には至らなかったものの、疑義照会の細目を明らかにすることで、セーフマネジメントとしての薬剤師の職務を考察する目的で、同加算を算定していない疑義照会についても調査した。
該当する処方箋2073枚を調べた結果、加算の対象となる疑義照会もあったが、薬局の判断で算定していないものが「複数観察された」とした。
また、加算の要件である「薬学的観点から必要と認める」の解釈に悩んでいる薬局があったほか、過去に処方医に対して同様の指摘を行った場合などは「算定しない」という薬局も複数確認され、「漫然と算定しない薬局の姿勢も垣間みられた」と考察した。
一部の薬局では、加算を算定せずに「残薬調整」を行っているケースも散見され、「残薬調整管理の結果を出すための具体的な介入方法を議論する時期にあると推測される」とした。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
処方箋の疑義照会の件数が増加しています。
神奈川県薬剤師会の医療介護保険委員会が県内の63薬局を対象に行った「重複投薬・相互作用等防止加算」(30点)の算定状況や疑義照会率に関する2017年度調査(速報値)で、同加算の算定率が前年度より0.28ポイント増の1.29%に上ったことが分かりました。