【16年診療行為別統計】薬学管理料が大幅プラス‐「かかりつけ料」新設反映
調剤点数、薬価下げ響き減
厚生労働省は25日、医療給付の受給者に関する調剤行為の内容などをまとめた2016年「社会医療診療行為別統計」の結果を公表した。薬局調剤の1件当たり点数と受付1回当たり点数は共に前年に比べて減少し、1件当たり点数のうち調剤技術料も前年比で落ち込んだ一方で、薬学管理料は二桁増と前年のマイナスから大幅なプラスに転じた。厚労省は「16年度診療報酬改定で門前薬局の評価見直しや、かかりつけ薬剤師指導料の新設など、対人業務の評価を充実させたことが影響しているのではないか」(政策統括官付参事官付社会統計室)と分析している。
調査は、昨年6月審査分として審査決定された医療保険制度の診療報酬明細書と調剤報酬明細書のうち、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)に蓄積されている全数集計を対象としたもの。薬局における調剤行為の1件当たりの点数総数は1086.9点と、前年に比べて33.9点、3.0%減少。受付1回当たりの点数も876.7点と18.1点、2.0%減っている。
調剤行為別に見ると、薬剤料の1件当たり件数は、薬価改定や後発品の使用促進策の影響により814.1点と前年に比べて28.4点、3.4%減少。調剤技術料も診療報酬改定による門前薬局の調剤基本料の引き下げなどが響き、前年比12.0点、5.3%の減少となった。1件当たり調剤点数の総数が減少したのは、主に薬剤料の減少が影響したと見られている。
一方で、薬学管理料は前年に比べて6.5点、13.4%と大幅なプラスに転じた。厚労省は、診療報酬改定で新設された、かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料など対人業務の評価を充実させたことが要因としている。
医科の入院外における院外処方率は、前年に比べ1.2ポイント上昇し、73.9%となり、引き続き医薬分業の進展がうかがえた。内訳は、病院が1.2ポイント増の77.5%、診療所が1.2ポイント増の72.8%となっている。
また、医科点数と薬局調剤を合算して求めた薬剤料の割合を見ると、薬価改定の影響により、入院は9.1%と前年比で0.5ポイント低下、入院外も40.7%と0.4ポイント低下した。入院と入院外を合わせた総数の薬剤料割合は36.0%となった。
後発品の使用状況については、薬剤種類数に占める後発品の種類数割合は総数で60.4%と前年に比べて5.9ポイント上昇。数量ベースと同様に、薬剤種類数に占める後発品割合も6割を超えた。内訳を見ると、入院は5.2ポイント増の57.2%、院内処方は3.7ポイント増の54.1%、院外処方は6.5ポイント増の62.4%といずれも伸長している。
さらに、薬剤の薬効分類別の点数について構成割合を見たところ、入院では腫瘍用薬が15.1%と最も多く、次いで中枢神経系用薬が13.7%、抗生物質が11.9%の順となった。院内処方と院外処方では循環器用薬が最も多かった。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
医療給付の受給者に関する調剤行為の内容などをまとめた2016年「社会医療診療行為別統計」、その結果を厚生労働省が発表しました。
薬剤料の1件当たり件数は3.4%減少。調剤技術料も5.3%の減少。薬学管理料は前年に比べて6.5点、13.4%と大幅なプラスでした。診療報酬改定で新設された、かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料など対人業務の評価を充実させたことが要因と見られています。薬剤種類数に占める後発品の種類数割合は総数で60.4%と前年に比べて5.9ポイント上昇。
薬効分類別の点数は入院では腫瘍用薬が15.1%、院内処方と院外処方では循環器用薬が最も多い結果となりました。