医療

オプジーボ、最適指針案示す‐癌拠点病院で専門医が使用

薬+読 編集部からのコメント

2016年12月14日(水)、厚生労働省は抗癌剤「オプジーボ」の最適使用推進ガイドラインの案をまとめました。国のがん診療連携拠点などの施設で、2年以上の臨床腫瘍学研修を行った専門医が使用すること、院内に医薬品情報を管理する薬剤師などの専任者が配置されているとの要件が明記されているとのこと。今後、関係学会と中医協の承認を得て最終確定される予定です。

医薬品情報の専任者配置も

 

厚生労働省は14日、抗癌剤「オプジーボ」の最適使用推進ガイドラインの案を、中央社会保険医療協議会総会に示した。国のがん診療連携拠点などの施設で、2年以上の臨床腫瘍学研修を行った専門医が使用すること、院内に医薬品情報を管理する薬剤師などの専任者が配置されているとの要件を明記。その上で、臨床試験で有効性が認められている患者のみに投与し、非扁平上皮癌でPD-L1の発現率が1%未満の患者には原則、ドセタキセルなどの抗癌剤投与を優先することとした。


 

指針案は、オプジーボの最適な使用を進めるために投与する医療機関と医師、対象患者を定めたもの。医薬品医療機器総合機構(PMDA)、日本臨床腫瘍学会、日本臨床内科医会、日本肺癌学会、日本呼吸器学会の協力により作成した。

 

オプジーボの投与が適切な施設としては、国のがん診療連携拠点や特定機能病院、外来化学療法室を設置している施設であることを明記。5年以上の癌治療の臨床研修を受け、そのうち2年以上の臨床腫瘍学研修を行っている肺癌化学療法の専門医がオプジーボ治療の責任者として配置されていること、院内の医薬品情報を管理する薬剤師などの専任者が配置され、製薬企業や医師からの窓口として情報提供が迅速に行われる体制が整っていることを要件とした。

 

また、間質性肺炎などの重篤な副作用の発生時に、24時間診療体制で入院管理やCTなどによる副作用が鑑別できる検査結果が当日に得られ、直ちに対応できる体制が整っていること、有害事象の情報を医療者が共有、対応できるチーム医療体制が整備されていることも明記した。

 

その上で、投与対象として、プラチナ製剤を含めた化学療法歴があり外科切除できない扁平上皮癌、非扁平上皮癌患者を明記。一方で、化学療法歴のない患者や術後補助化学療法を行った患者、他の抗癌剤とオプジーボの併用は有効性が確立していないとして、投与対象にしないとした。

 

ただ、オプジーボは扁平上皮癌、非扁平上皮癌患者において、海外第III相試験でドセタキセルに対する優越性を示しているが、非扁平上皮癌患者ではPD-L1の発現率により有効性の傾向が違うことが示唆されている。そのため指針案では、非扁平上皮癌患者に対してはPD-L1の発現率を確認した上で、オプジーボを投与するかどうか判断することが望ましいとし、PD-L1の発現率が1%未満の患者には、原則ドセタキセルなどの抗癌剤投与を優先するよう推奨した。

 

この日の総会では、委員から「患者にとって適切で安全に使用できる丁寧な内容」と評価する声が上がる一方、「オプジーボの使用状況がどう最適化されるのかイメージできない」との意見も出た。

 

厚労省は、「既に指針の相当部分は、小野薬品が自主的に取り組んでおり、かなり適正使用に近い状況になっている」と説明。今後、指針案を詰めて関係学会と中医協の承認を得た上で、最終確定する予定。

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出典:薬事日報

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