ネスプAGが承認取得‐バイオ医薬品では初
協和発酵キリンは16日、子会社「協和キリンフロンティア」が持続型赤血球造血刺激因子製剤「ダルベポエチンアルファ注シリンジ『KKF』」(先発品名:ネスプ)について、腎貧血を適応とするジェネリック医薬品(GE薬)として国内承認を取得したと発表した。同剤は、ネスプのオーソライズド・ジェネリック(AG)であり、バイオ医薬品の後続品としては、国内初のAG。発売日は未定。先行品と同じ原薬や添加物、製造方法という信頼性に加え、経済性にも優れた製品として訴求する一方、2019年にバイオシミラーの参入が予想され、国内トップ製品であるネスプ売上を他社に浸食されないための一手になりそうだ。
ネスプは、協和発酵キリンが重点領域に位置づける腎領域の主力製品で業績に大きく貢献してきた。4月に薬価引き下げが行われた18年12月期中間決算では、前年同期比4%減の256億円、通期予想では540億円を見込むなど、国内では同社売上トップ製品となっている。19年に国内で物質特許期間満了を控える中、特許切れのダメージを最小限にする狙いから、ネスプAGの事業化を検討してきた。
昨年にネスプAGの事業に特化した「協和キリンフロンティア」を設立。規制当局との相談を重ねながら、バイオ医薬品のAGで国内初の承認取得にこぎつけた。
今回のネスプAGは、バイオシミラーではなく、通常のGE薬として承認を取得した。適応症は、腎性貧血であり、先発品が有している骨髄異形成症候群(MDS)に伴う貧血の適応は取得していない。先発品と同じ原薬・添加物・製造方法を用いるが、製造場所等は非公開。
薬価については、バイオ後続品に適用される先発品薬価の70%になるのか、通常のGE薬で適用される先発品薬価の50%になるのか、今後検討される見通し。発売日は未定で、安定供給体制の構築を進めている段階にある。上市後は、協和発酵キリンと協和キリンフロンティアが共同で情報提供活動を実施する。
一方、ネスプのバイオシミラーについては、JCRファーマや三和化学など複数の企業で開発を進めているが、ネスプAGが登場することで、バイオシミラー市場に大きな影響を与えそうだ。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
持続型赤血球造血刺激因子製剤「ダルベポエチンアルファ注シリンジ『KKF』」(先発品名:ネスプ)が、腎貧血を適応とするジェネリック医薬品として承認されました。
バイオ医薬品の後続品は国内初となり、今後薬価が検討される見通しです。