医療機器

ノ社に業務改善命令‐3度目の行政処分

薬+読 編集部からのコメント

ノバルティスファーマ社が報告義務のある副作用例を期限内に国へ報告しなかったとして、2015年11月13日(金)に厚生労働省は業務改善命令を出しました。同社は3回目の行政処分となり、厚労省は「極めて遺憾」としています。

厚生労働省は13日、ノバルティスファーマが報告義務の対象となる副作用5475例を期限内に国に報告しなかったとして、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき同社に業務改善命令を出した。原因は副作用報告システムの障害によるもので、悪質なケースではないと見られるが、3回目の行政処分ということもあり、厚労省は処分理由で「極めて遺憾」という強い表現を用いている。

 

行政処分の対象となったのは、ノ社が製造販売する医療用医薬品計57成分5475例と治験薬28成分154件の副作用報告遅延。治験薬については、厚労省が業務改善指示を行った。

 

今年1月に、国内で使用していた副作用報告システムをノ社が全世界的に用いているシステムに変更した際に発生した障害への対応に不備があったことが原因とされる。

 

厚労省によると、薬機法で30日と定められている国への副作用情報の報告が最大で約200日遅れたという。

 

厚労省は、システム障害発生後、副作用報告遅延の可能性があったにもかかわらず、直ちに厚労省や医薬品医療機器総合機構(PMDA)に報告せず、副作用報告遅延を認識した後に報告を行うなどの対応について、「遅延を最小限にとどめる努力を怠った。極めて遺憾であり、業務改善を重ねて命ずる」とし、遅延の可能性が生じた時点でPMDAや厚労省に速やかに報告することを要望。今後、システムの障害、大規模改修などが発生した場合でも、対応の遅れによって期限内に副作用報告が行えないような事態にならないような体制整備も求めた。

 

ノ社は、業務改善命令発出後、1カ月以内に是正措置と再発防止策等の改善計画を策定し、厚労省に提出する。

 

ノ社の行政処分をめぐっては、昨年7月に抗癌剤の副作用報告を怠り、昨年7月に業務改善命令を受けたほか、今年2月には抗癌剤など26品目で報告義務対象の副作用3264例を把握していたにもかかわらず、期限内に報告していなかったとして15日間の業務停止命令を受けている。

 

一方、ノ社は「昨年8月29日付で提出した改善計画書で再発防止に努める旨を明言したにもかかわらず、再び副作用報告遅延の問題で行政処分を受けたことを極めて重く受け止め、患者の皆様とそのご家族、医療関係者の皆様、国民の皆様に心よりお詫び申し上げる」とのコメントを発表した。

 

代表取締役社長、担当取締役2人の役員報酬を11月から3カ月間、30%減額する処分を決め、1カ月以内に是正措置や再発防止策などの改善計画を厚労省に提出するとしている。

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出典:薬事日報

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