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個別化抗癌剤が相次ぎ登場‐新薬9件の承認等を了承

薬+読 編集部からのコメント

薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会が新薬9品目を承認、了承しました。アストラゼネカのタグリッソ錠は遺伝子変異がある患者のみに用いられるため、遺伝子変異を調べるためのコンパニオン診断薬も同時に承認される見通しとのことです。

薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は2月26日、アストラゼネカの抗癌剤「タグリッソ錠」、ノバルティスファーマの抗癌剤「ジカディアカプセル」、グラクソ・スミスクライン(GSK)のマラリア治療配合剤「マラロン配合錠」など9品目の承認と一部変更承認を審議し、了承した。

 

審議品目

 

ゾーフィゴ静注(バイエル薬品):新有効成分の塩化ラジウムを含有する放射性医薬品。骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌を効能・効果とする。腫瘍の骨転移部位に集積し、アルファ線を放出することで、腫瘍の増殖を抑制する。

 

用法・用量は、1回55kBq/kgを4週間間隔で最大6回まで、静脈内に緩徐に注射する。再審査期間は8年。既に海外では、前立腺癌の効能・効果で世界45カ国・地域で承認されている。

 

ジカディアカプセル150mg(ノバルティスファーマ):新有効成分のセリチニブを含有するチロシンキナーゼ阻害剤。クリゾチニブ(商品名:ザーコリカプセル)に抵抗性のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を効能・効果とし、二次治療で用いる。類薬には、アレセンサカプセルなどがある。

 

用法・用量は、1回750mgを1日1回、空腹時に経口投与する。希少疾病用医薬品で再審査期間は10年。既に海外では、米国、欧州で承認されている。

 

タグリッソ錠40mg、同80mg(アストラゼネカ):新有効成分のオシメルチニブメシル酸塩を含有し、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺癌を効能・効果とする。

 

EGFR遺伝子の790番目のスレオニンがメチオニンに置換された変異がある患者のみに用いる。遺伝子変異を調べるためのコンパニオン診断薬も申請中とされ、タグリッソと同時期に承認の見通し。

 

用法・用量は、1日1回80mgを経口投与する。再審査期間は8年。海外では米国で承認されている。

 

イムブルビカカプセル140mg(ヤンセンファーマ):新有効成分のイブルチニブを含有し、再発または難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)を効能・効果とする。ブルトン型チロシンキナーゼを阻害することにより、B細胞性腫瘍の増殖を抑制する。類薬には、マブキャンパス点滴静注、アーゼラ点滴静注液などがある。

 

用法・用量は、1日1回420mgを経口投与する。希少疾病用医薬品で再審査期間は10年。海外では慢性リンパ性白血病の効能・効果で世界64カ国で承認されている。

 

アディノベイト静注用250、同500、同1000、同2000(バクスター):アドベイト静注用の有効成分であるルリオクトコグアルファペゴル(遺伝子組み換え)に、ポリエチレングリコール(PEG)を結合させた遺伝子組み換えFVIII製剤。類薬には、コージネイトFSバイオセット注、イロクテイト静注用などがある。

 

用法・用量は、溶解液5mLで溶解し、緩徐に静脈内に注射する。1回体重1kg当たり10~30国際単位を投与するが、患者状態に応じて適宜増減する。定期的に投与する場合は、1回体重1kg当たり40~50国際単位を週2回投与するが、患者状態に応じて1回体重1kg当たり60国際単位に増量できる。再審査期間は8年。海外では米国で承認されている。

 

コバールトリイ静注用250、同500、同1000、同2000、同3000、同静注用キット250、同キット500、同キット1000、同キット2000、同キット3000(バイエル薬品):有効成分のオクトコグベータ(遺伝子組み換え)を含有し、既承認のコージネイトFSの生産性を向上させた製剤。血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制を効能・効果とする。

 

用法・用量は、溶解液全量で溶解し、緩徐に静脈内注射する。1回体重1kg当たり10~30国際単位を投与、定期的な投与は体重1kg当たり20~40国際単位を週2回または週3回投与し、12歳以下の小児には体重1kg当たり25~50国際単位を週2回、週3回または隔日投与する。再審査期間は8年。海外承認はない。

 

マラロン配合錠、同小児用配合錠(グラクソ・スミスクライン):有効成分のアトバコンとプログアニル塩酸塩を含有する配合剤。今回、体重5~10kg以下の小児のマラリア治療と体重11~40kg以下の小児のマラリア予防の新用量と、少量の小児用新剤形を追加した。

 

小児用配合錠の類薬はない。再審査期間は残余期間の2020年12月24日まで。海外では、マラロン配合錠は世界70カ国・地域、小児用配合錠は50カ国・地域で承認されている。

 

プリマキン錠15mg「サノフィ」(サノフィ):新有効成分のプリマキンリン酸塩を含有し、三日熱マラリアおよび卵形マラリアを効能・効果とする。これら三日熱マラリア、卵形マラリアは、原虫は肝臓内に存在するヒプゾイト(休眠体)を殺滅しない限り、血中の原虫が消失しても再発する可能性があることから、マラロン配合錠で血中のマラリア原虫を殺滅した後、さらにプリマキン錠で肝臓内のヒプゾイトを治療する。類薬はない。

 

用法・用量は、成人には30mgを1日1回14日間、食後に経口投与する。小児には0.5mg/kg(最大30mg)を1日1回14日間、食後に経口投与する。

 

再審査期間は8年。未承認薬・適応外薬検討会議の開発要請品目。既に海外では、1952年に米国で三日熱マラリアの再発予防で承認されて以降、カナダ、コロンビアで承認されており、その他の国では後発品のプリマキン製剤が広く販売されている。

 

ヌーカラ皮下注用100mg(グラクソ・スミスクライン):新有効成分のメポリズマブ(遺伝子組み換え)を含有するヒト化抗ヒトIL-5モノクローナル抗体。既存治療でも喘息症状をコントロールできない難治患者の気管支喘息を効能・効果とする。類薬のゾレア皮下注用はIgEに作用するのに対し、ヌーカラ皮下注用は、IL-5を阻害して好酸球の増殖・活性化を抑えることで効果を発揮する。

 

用法・用量は、成人と12歳以上の小児には1回100mgを4週間ごとに皮下に注射する。再審査期間は8年。海外では米国、欧州で承認されている。

 

報告品目

 

コロンフォート内用懸濁液25%(伏見製薬所):有効成分の硫酸バリウムを含有する陽性経口造影剤。腸内容物の標識による大腸CT断層撮像の補助を効能・効果とする。

 

これまで大腸CT検査の前処置として、腸管洗浄を行うことによって腸管内の食べ残り等を全て取り除く必要があったが、コロンフォート内用懸濁液を検査前に投与することで、腸管洗浄を行わずに検査できる。類薬はない。

 

用法・用量は、1回32mLを検査前日から毎食後に3回経口投与する。再審査期間はなし。

 

乾燥弱毒生水痘ワクチン「ビケン」(阪大微生物病研究会):乾燥弱毒生水痘ワクチンに50歳以上の帯状疱疹の予防の効能を追加した。厚生労働省の未承認薬等検討会議で公知申請が妥当と判断され、阪大微研が公知申請していた。再審査期間はなし。

 

沈降細胞培養インフルエンザワクチンH5N1筋注30μg/mL「北里第一三共」(北里第一三共ワクチン):新型インフルエンザ(H5N1)の発症予防に用いる沈降細胞培養インフルエンザワクチン(H5N1株)に、小児の用法・用量を追加した。再審査期間は残余期間の24年3月23日まで。海外では開発されていない。

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出典:薬事日報

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