医療用薬の販売活動に指針案‐社内に「監督部門」設置求める
経営陣の管理責任も強調
厚生労働省は、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」案をまとめた。ディオバン事件など製薬企業のMRによる不適切なプロモーション活動が相次いだ状況の改善を目指し、販促活動に用いる資材や活動自体の適切性を監視する部門を社内に新設することを企業に要求。MRなど情報提供担当者には、誤解を招く恐れのある活動を禁じると共に、本来の責務という原点を判断基軸に自らを厳しく律した活動を求めるなど踏み込んだ内容となった。来月13日までパブリックコメントを募っている。
ガイドライン案は、営業部門と切り離された部署にかかわらず、製薬企業の社員全てに適用されるとし、プロモーション活動の原則として、医療用薬の有効性のみならず、副作用を含む安全性についても情報提供するなど、必要な情報を提供し、その情報を恣意的に選択しないことを定めた。
提供する情報は、科学的根拠に基づくものを求め、不適切使用や誤使用を誘発しないよう虚偽・誇大、誤認を誘発させる表現を使わないよう明記。他社製品を誹謗・中傷することで自社製品を優れたものと訴えることなども禁じた。
その上で、製薬企業の責務として、経営陣があらゆるプロモーション活動の責任を負うことを強調。自社が適切にプロモーション活動を行っていることを確認するため、資材や活動をモニタリングする「販売情報提供活動監督部門」を社内に設置し、責任者を明確化するよう要求した。また、プロモーション活動の担当者に必要な監督指導をできる権限を与える一方、経営陣にも必要な管理指導を行うよう求めた。
経営陣に対しては、プロモーション活動の監督部門に独立性のある委員が含まれる審査・監督委員会の設置を求め、監督部門の活動に関して責任者に必要な助言を行わせることも盛り込んた。ただ、監督部門に権限を与えたとしても、プロモーション活動に対して負うべき経営陣の責任は免れないとクギを刺している。役員・社員の評価、報酬に適切なプロモーション活動を行ったかどうか、行わせたかどうかを適切に反映することや定期的な教育を行うよう求めた。
一方、MRなどプロモーション活動の担当者の責務としては、審査で適切と認められた資材に沿って、正確で科学的・客観的な根拠に基づく活動を行わなければならないと強調。意図的であるかにかかわらず、誤解を招く恐れのある活動を行わないよう求めると共に、例外的なデータを一般的な事実であるかのように表現しないこと、不適切使用・誤使用を誘発する恐れがある表現を用いないよう細心の注意を払うべきとしている。
さらに、ガイドラインに定められていないことであれば自由に行ってもよいとの誤った認識を持つことなく、製薬企業に求められる本来の責務という原点を判断基軸とし、自らを厳しく律した上でプロモーション活動を行うよう詳細な行動まで踏み込んだ。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
臨床データ改ざんで逮捕者を出したディオバン事件など相次ぐ不正を受け、厚生労働省は製薬企業に対して医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン案をまとめました。販促活動に用いる資材や活動をモニタリングする「販売情報提供活動監督部門」の新設を要求。MRなどに、正確で科学的・客観的な根拠に基づく活動を求めています。製薬企業の全社員に適用されるとし、経営陣が責任を負うことも強調されています。