土屋日病薬副会長、指導記録の徹底を要請‐薬歴未記載問題への対応
日本病院薬剤師会副会長の土屋文人氏は5月30日、和歌山市内で講演し、「薬歴未記載問題を、薬局だけの話として済ませてはいけない」と呼びかけた。薬剤師法第25条の2の改正が昨年施行され、薬剤師に指導義務が課されるようになった。土屋氏は「指導と記録はペア」とし、いつ誰が誰にどのような指導をしたかを記録することが重要と指摘。各病院や診療所における指導記録の徹底を求めた。
土屋氏は、薬歴未記載問題について「本来は薬剤師の業務記録に関する話。薬剤師が記録をきちんと取らずに業務を行っていることが非難されていると思うべきではないか。他人事ではない」と解説した。
改正された薬剤師法第25条の2によって薬剤師は、有効性や安全性の情報提供だけでなく、「必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない」とされている。
土屋氏は「過去の判例では、薬剤投与の目的、具体的効果、副作用がもたらす危険性を指導するのは、医師の指導義務に含まれるとされてきた。しかし、指導義務が薬剤師にも課されるようになった。これからは薬剤師もその役割を果たすことを意識すべきだ。25条の2に指導義務が含まれた意味を、われわれはものすごく考えないといけない」と語った。
その上で、「指導で求められるのは、いつ誰が誰にどのような指導をしたかという記録。医師法には記録義務が記載されている。本来なら、薬剤師法に記録義務が記載されていてもおかしくはない」と述べ、指導の記録を徹底するよう呼びかけた。
入院患者に対する記録としては「病棟薬剤業務実施加算の算定病院では、必ず毎日患者さんのところに行って状況を把握し、その記録を残してほしい」と話した。
また、外来患者の院内処方箋の場合における指導記録については、短時間で簡潔に記録できるように、指導実施の有無や対象薬剤、指導内容などをチェックボックス方式で記載する方法を私案として紹介。さらに、処方箋の薬剤師印を押す欄に「情報提供・指導」欄を新設し、情報提供と指導を行った薬剤師が印鑑を押して、その記録を残すことを推奨した。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
土屋日本病院薬剤師会副会長の2015年5月30日の講演内容を伝えるニュースです。土屋副会長は薬剤師法第25条2に「必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない」とされた意味を考えなければいけないと語り、薬歴の未記載問題を「他人事ではない」と解説しています。