医療費

外国価格ルール見直し議論‐「参照国から米国除外」で一致

薬+読 編集部からのコメント

中央社会保険医療協議会は2017年1月25日(水)、薬価専門部会にて外国平均価格調整ルールの検討に着手しました。現在、価格の参照国となっているのは米、英、独、仏の4カ国。厚労省からは過去3年間の収載品目について、米国の価格は日本の平均3.4倍、英国は1.2倍、ドイツは1.6倍、フランスは1.1倍だったとのデータが提示され、各委員からは自由薬価を採用している米国の価格を参照することに対しての指摘が出されました。

薬価部会

 

中央社会保険医療協議会は25日、薬価専門部会を開き、乾癬治療薬「トルツ」が類薬に比べて3倍以上の薬価となった問題を受け、見直しを求める意見が噴出していた外国平均価格調整ルールの検討に着手した。価格の参照国となっている米、英、独、仏の4カ国のうち、特に医療保険制度が違い、自由薬価のために高薬価が付きやすい米国を参照国の一つとしている現状に問題意識が示され、「米国を除外すべき」との意見が相次いだ。一方、世界最大の新薬創出国でもあることから「米国を除外することによる影響を慎重に見極めるべき」との声も出た。


 

外国平均価格調整ルールは、算定薬価が外国価格と乖離の大きい場合に調整を行うもの。米、英、独、仏の平均価格の1.5倍を上回る場合は引き下げ、外国平均価格の0.75倍を下回る場合には2倍を上限に引き上げるというもの。

 

昨年8月にトルツの薬価が調整後、類薬の3倍以上となったことから問題点が浮上。薬価算定組織の清野精彦委員長が、外国平均価格調整ルールを見直す必要性に言及する事態となった。さらにその後、企業が収載希望を取り下げ、為替レートの変動を見て再申請したため、委員から疑問の声が上がっていた。

 

この日の部会では、厚労省が過去3年間の収載品目と外国価格の関係について、米国の価格は日本の平均3.4倍、英国は1.2倍、ドイツは1.6倍、フランスは1.1倍だったとのデータを提示。これらを踏まえ、参照すべき外国価格や調整すべき医薬品の範囲などについて議論した。

 

吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、米国は主に民間保険でカバーし、自由薬価を採用しているのに対し、日本は国民皆保険制度であることを指摘。「そういう環境の米国と同様に価格を参照することには違和感がある」との認識を述べた。

 

安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)は、「新薬を創出できる4カ国の価格と参照するのは合理的」との認識を示し、世界最大の新薬創出国であることを考慮する必要性に言及しつつ、「米国では企業が希望する価格(リストプライス)を見ていくとなると、様々な影響が出る。リストプライスは参考程度にして、参照国に含めないのも一つの手ではないか」との考えを示した。

 

さらに、中川俊男委員(日本医師会副会長)は「米国のリストプライスは除外すべき」と重ねて主張。幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)も「米国を除外するのは自然な考え方」と発言。委員の大勢は、外国平均価格調整ルールで参照すべき国から米国を除外すべきとの意見で一致した。ただ、幸野委員は「新薬創出国の米国を除外することによる影響はないのか、確認した上で結論を出すべき」とも述べ、慎重な検討が必要とした。

 

一方、加茂谷佳明専門委員(塩野義製薬常務執行役員)は、「外国平均価格調整ルールは、様々な見直しの変遷を繰り返して複雑になっている」と指摘。透明性、公平性の観点からルールの簡素化を求めた。

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出典:薬事日報

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