多発性骨髄腫薬など登場‐新薬5件の承認・一変了承
薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は3日、武田薬品の多発性骨髄腫治療薬「ニンラーロ」など5件の承認と一部変更承認申請を審議し、了承した。
審議品目
▽ムンデシンカプセル100mg(ムンディファーマ):新有効成分のフォロデシン塩酸塩を含有し、再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫を効能・効果とする。同剤は、T細胞の増殖に必要なプリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)を阻害する低分子化合物。類薬はない。
用法・用量は、1回300mgを1日2回経口投与する。希少疾病用医薬品で再審査期間は10年。海外開発はない。
▽ニンラーロカプセル2.3mg、同3mg、同4mg(武田薬品):新有効成分のイキサゾミブクエン酸エステルを含有し、再発または難治性の多発性骨髄腫を効能・効果とするプロテアソーム阻害剤。類薬には、ベルケイド、カイプロリス、レブラミドなどがある。
用法・用量は、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用において、1日1回4mgを空腹時に週1回、3週間(1、8および15日目)に経口投与した後、13日間休薬する。この4週間を1サイクルとし、投与を繰り返す。
希少疾病用医薬品で再審査期間は10年。海外では、欧米など6カ国・地域で承認されている。
▽ゾレア皮下注用75mg、同150mg(ノバルティスファーマ):有効成分のオマリズマブ(遺伝子組み換え)を含有し、既存治療で効果不十分な特発性の慢性蕁麻疹の効能・効果を追加する。類薬はない。
用法・用量は、特発性の慢性蕁麻疹に対して、1回300mgを4週間ごとに皮下に注射する。再審査期間は4年。海外では、慢性特発性蕁麻疹の効能・効果で欧米で承認され、喘息の効能を含めると85カ国で承認されている。
▽ソバルディ錠400mg(ギリアド・サイエンシズ):有効成分のソホスブビルを含有し、セログループ1(ジェノタイプ1)またはセログループ2(ジェノタイプ2)のいずれにも該当しない患者の効能・効果を追加する。
これまでセログループ2のC型慢性肝炎患者の効能・効果のみ承認されていたが、ジェノタイプ1とそれ以外のジェノタイプ3~6の患者にも投与できるようになった。ジェノタイプ3の感染患者数は約2800人、ジェノタイプ4~6の感染患者は極めて少数とされている。未承認薬検討会議の開発要請品目で迅速審査対象となった。再審査期間は、残余期間の2023年3月25日まで。
用法・用量は、ジェノタイプ1またはジェノタイプ2のいずれにも該当しない場合、リバビリンとの併用において400mgを1日1回24週経口投与する。
海外では、ジェノタイプ3のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変患者に対するソホスブビル/リバビリン併用療法レジメンは、欧米など69カ国・地域で承認されている。ジェノタイプ4~6の同併用24週間レジメンは、欧州においてペグインターフェロンαの投与に不耐容または不適格患者に対してのみ適用されている。
▽ケイセントラ静注用500、同1000(CSLベーリング):新有効成分の乾燥濃縮人プロトロンビン複合体を含有し、ビタミンK拮抗薬投与中の患者における急性重篤出血時、または重大な出血が予想される緊急手術・処置施行時の出血傾向の抑制を効能・効果とする。希少疾病用医薬品で、再審査期間は10年。未承認薬検討会議の開発要請品目。
用法・用量は、投与前のプロトロンビン時間―国際標準比(PT-INR)が2~4未満で体重100kg以下の場合は25IU/kg、100kgを超える場合は2500IU、同比4~6で同35IU/kg、3500IU、同比6以上で同50IU/kg、5000IUを単回静脈内投与する。
海外では、米国など42カ国で承認されている。
報告品目
▽レベトールカプセル200mg(MSD):有効成分のリバビリンを含有するインターフェロン製剤。「ソバルディ」との併用投与により、セログループ1またはセログループ2のいずれにも該当しない患者の効能・効果を追加する。再審査期間は、ソバルディの残余期間である23年3月25日まで。
▽コペガス錠200mg(中外製薬):有効成分のリバビリンを含有するインターフェロン製剤。「ソバルディ」との併用投与により、セログループ1またはセログループ2のいずれにも該当しない患者の効能・効果を追加する。再審査期間は、ソバルディの残余期間である23年3月25日まで。
▽アニュイティ100μgエリプタ14吸入用、同30吸入用、同200μgエリプタ14吸入用、同30吸入用(グラクソ・スミスクライン):有効成分のフルチカゾンフランカルボン酸エステルと長時間作動型β2刺激薬を配合した吸入ステロイド配合剤「レルベア」について、フルチカゾンのみの1日1回投与製剤。再審査期間は、「レルベア」の残余期間の21年9月19日まで。海外では、9カ国で承認されている。
▽ベリナートP静注用500(CSLベーリング)有効成分の乾燥濃縮人C1-インアクチベーターを含有し、侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制の効能・効果を追加する。公知申請品目で、再審査期間はなし。
海外では、侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の短期予防に対する効能・効果で、英国、ドイツ、フランスで承認されている。
▽タミフルドライシロップ3%(中外製薬):有効成分のオセルタミビルリン酸塩を含有し、1歳未満の新生児、乳児への用法・用量を追加する。
欧米で1歳未満の小児に対する用法・用量が承認されていることから、日本小児感染症学会や日本未熟児新生児学会などから公知申請が行われた。再審査期間はなし。
海外では、米国、欧州、オーストラリアで1歳未満の用法・用量が承認されている。
▽オプジーボ点滴静注20mg、同100mg(小野薬品):有効成分のニボルマブ(遺伝子組み換え)を含有し、再発または遠隔転移を有する頭頸部癌の効能・効果を追加する。優先審査品目で、再審査期間は残余期間の21年10月16日まで。頭頸部癌の患者数は甲状腺癌を除き、2万4557人と報告されている。海外では、米国のみで承認されている。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2017年3月3日(金)、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は5件の承認と一部変更承認申請を審議し、了承しました。新有効成分のイキサゾミブクエン酸エステルを含有した「ニンラーロ」は、再発または難治性の多発性骨髄腫を効能・効果としています。