医療費

大型門前適正化で40億円削減‐16年度の診療報酬改定率が決着

薬+読 編集部からのコメント

2016年度の診療報酬改定率が来年度予算案の閣僚折衝で決定されました。調剤は0.17%増で国費ベースでは約30億円相当。一方で大型門前薬局評価の適正化によって国費ベースで40億円が削減されます。

特例点数の総額が消失する規模

16年度予算案の折衝に臨む塩崎厚労相(左)と麻生財務相
16年度予算案の折衝に臨む塩崎厚労相(左)と麻生財務相

 

塩崎恭久厚生労働相と麻生太郎財務相が21日に行った来年度予算案の閣僚折衝で、2016年度診療報酬改定率を、本体プラス0.49%(国費プラス500億円程度)とすることを決めた。医科0.56%増、歯科0.61%増、調剤0.17%増で、技術料割合に基づく医科:歯科:調剤「1:1.1:0.3」の配分比率は維持した。調剤増は国費ベースで約30億円に相当するが、改定の別枠で実施される「大型門前薬局等の評価の適正化」によって約40億円(国費)が削減されることから、差し引くと調剤全体ではマイナス10億円(国費)と見ることもできる。


 

大型門前薬局等の適正化で削減される国費ベースの40億円を医療費ベースに換算すると160億円に相当する。年間の処方箋枚数を8億5000万枚とした場合、そのうちの7.6%(6460万枚)の処方箋が調剤基本料において点数が低くなる特例点数(25点)を算定しているとされる。

 

特例点数は、「処方箋受付回数月4000回超かつ集中率70%以上」と「処方箋受付回数月2500回超かつ集中率90%以上」のいずれかの要件に当てはまる薬局が算定するもの。

 

7.6%のうち何%の薬局が適正化のターゲットとなる「大型門前」に該当するのかは明らかでないが、仮に7.6%の処方箋全てに網をかけた場合、医療費ベースで160億円に相当し、現在、特例点数を算定している7.6%の調剤基本料が消失してしまう規模の金額になる。

 

一方、通常改定で薬価(1.22%、国費1200億円)と材料(0.11%、国費100億円)の計1.33%(国費1300億円)引き下げ、ネット(全体)での改定率はマイナス0.84%となった。

 

今回は、厚労省が「制度改正に伴うもの」との理由から、改定率の計算に入れなかった「別枠扱い」に注目する必要がある。

 

別枠扱いでは、まず、通常の市場拡大再算定と、年間販売額が極めて大きい品目に対する巨額再算定で480億円、新規後発品の薬価引き下げと、「後発品への置き換えが進まない場合の長期収載品の特例引き下げ」(Z2)の区分見直しによる20億円の計500億円を削減。

 

大型門前薬局の評価の適正化で40億円、経腸栄養用製品の給付適正化で40億円、湿布薬の1処方当たりの枚数制限と、費用対効果の低下した歯科材料の適正化で計30億円程度の計610億円程度(国費)を捻出した。

 

今回の改定率は、診療報酬全体(ネット)でマイナス0.84%だが、通常の市場拡大再算定による薬価見直しの影響を加味すると、マイナス1.03%になると厚労省は説明している。これに、別枠扱いによる引き下げ分を加味すると、マイナスの幅は大きくなる。

  • 薬剤師のための休日転職相談会
  • 薬剤師の転職・求人・募集はマイナビ薬剤師/5年連続満足度NO.1

<完全無料>転職やキャリアのご相談はマイナビ薬剤師へ

出典:薬事日報

ページトップへ