医療費

後発品薬価の議論に着手‐さらなる初後発下げ要求も

薬+読 編集部からのコメント

2017年4月26日、中医協は薬価専門部会を開きました。初後発品の薬価については「数量80%時代に資する価格の検討が必要」という薬価の引き下げに前向きな意見が出た反面、原価率の高い薬については一定の配慮を求める声も出されています。

薬価部会

 

中央社会保険医療協議会は26日、薬価専門部会を開き、薬価制度の抜本改革に向け、後発品薬価のあり方をめぐって議論した。初後発品の薬価について、「数量80%時代に資する価格の検討が必要」とさらなる引き下げに前向きな意見が出た一方、デバイスを組み合わせた製品など原価率の高いものについては、安定供給のために一定の配慮が必要と求める声も上がった。製薬業界からも「既に(初後発の薬価は)適切な水準」と慎重な対応が要請された。

 

初後発品の薬価については、2016年度薬価制度改革で先発品の5割、内用薬で10品目を超える場合は4割とされた。この日の部会では、17年度に実施する薬価調査で得られた乖離率のデータを踏まえて検討していく必要性で一致したが、吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、「乖離率を踏まえて、さらなる引き下げを検討することになる」と指摘した。

 

今後、後発品数量シェア80%時代に向け、「数量シェア60%から70%と、70%から80%に引き上げるのでは同じ10%でも困難さが格段に違う」とし、「価格の安さが後発品使用促進の強みになる」と強調。80%に貢献する薬価の検討が必要と提言した。

 

安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)は、乖離率を踏まえ、原則として初後発品の薬価を引き下げる方向に賛同しつつ、「デバイスを組み合わせた後発品など、原価率の高い製品も引き下げ対象に含まれる。これら製品の安定供給のためには一定の配慮が必要」との考えを示した。

 

その上で、先発品の5割の新規収載品でも乖離率が大きいことに言及。「単なる価格競争ではなく、医療安全や飲みやすさなど、品目の特性をより患者に届けるという競争をしていくべき」と求めた。

 

業界代表の加茂谷佳明専門委員(塩野義製薬上席執行役員)は、初後発品の薬価が連続で引き下げられていることを指摘。「今回、新たな乖離率を踏まえて検討することは一つの考え方」としながらも「新規収載品に成分などが違う過去の乖離率を適用することに合理性はあるのか」と問題提起。「既に(初後発品薬価は)適切な水準にあるのではないか」との考えを示した。

後発品への置換え効果‐15年度で9412億円

 

また、厚生労働省は同日の部会に、後発品への置き換えによる15年度の医療費削減額が平均9412億円との推計を示した。

 

薬価調査の結果から取引された全ての後発品について、個別に対応する先発品が取引されていた場合を仮想。実際の薬価ベースの取引額と仮想取引額の差を後発品への置き換えによる医療費削減額とし、年間平均削減額は11年度4087億円、13年度には5500億円、さらに15年度は9412億円と大幅に拡大していることが分かった。

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出典:薬事日報

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