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消化管運動改善薬 スイッチ「可」-アルツハイマー型認知症薬は「否」

薬+読 編集部からのコメント

厚労省はスイッチOTC薬の成分を評価。
消化管運動改善薬「イトプリド塩酸塩」は、「2週間以上の服用を制限」することを条件にスイッチ化を「可」。
一方、アルツハイマー型認知症薬4成分「ドネペジル塩酸塩」「ガランタミン臭化水素酸塩」「メマンチン塩酸塩」「リバスチグミン」は「否」となりました。

厚生労働省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」は5日、スイッチOTC薬の候補となる5成分を評価した。消化管運動改善薬「イトプリド塩酸塩」は「2週間以上の服用を制限」することを条件にスイッチ化を「可」と判断したが、「ドネペジル塩酸塩」などのアルツハイマー型認知症薬4成分はいずれも「否」と結論づけた。前回会合でスイッチ化が「否」と判断されていたプロトンポンプ阻害剤(PPI)は、パブリックコメントを踏まえ、改めて審議。およそ8割の「賛成意見」が寄せられたものの、店舗でのOTC薬の販売体制が「現時点で改善されているわけではない」などの理由で、「否」と意見集約し、スイッチ化は見送られることとなった。

 

厚労省検討会議

「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」

イトプリド塩酸塩は、医学会・医会、日本OTC医薬品協会が「可」と判断した。ただ、複数の委員から、長期使用などを懸念する声が上がったほか、効能・効果から「胃痛を除く」よう求める意見が出たため、条件付きで「可」とする方向で意見集約された。

 

アルツハイマー型認知症薬4成分(ドネペジル塩酸塩、ガランタミン臭化水素酸塩、メマンチン塩酸塩、リバスチグミン)のスイッチ化には、医学会・医会、OTC薬協がいずれも反対した。

 

委員からも、認知症の診断の難しさや、症状の進行に応じて薬剤を増量したり、薬剤の併用が必要になることが懸念され、「OTC化は難しい」など慎重な意見が相次ぎ、「否」と判断された。今後、認知症薬も含め、一般からの意見募集を行い、次回会合でスイッチOTC化の妥当性を改めて審議する。

 

長島公之委員(日本医師会常任理事)は、全会一致で否決されたアルツハイマー型認知症薬4成分が、一般の「個人」による要望だったことから、スイッチOTC化にふさわしい医薬品についての「説明が必要では」と指摘。

 

厚労省は、受け付けた候補成分に関して、議論の前段階で「前さばき」を行うことも含めて検討する考えを示した。

 

PPIのスイッチ「否」-販売実態フォローで再議論も

会議では、パブコメの結果を踏まえた審議も行い、前回会合でスイッチ化が「可」とされた消炎鎮痛剤「ナプロキセン」、女性用頻尿剤「プロピベリン塩酸塩」の2成分を「可」とする判断は変わらなかった。

 

一方、スイッチ化が「否」とされていた「オメプラゾール」「ランソプラゾール」「ラベプラゾール」のPPI3成分については、パブコメに寄せられた98件中84件が「賛成」したものの、「否」の結論は変わらず、スイッチ化が見送られた。

 

乾英夫委員(日本薬剤師会副会長)は、実態把握調査の結果を踏まえて日薬として「100%順守」を目指して取り組んでいることや、懸念されている「短期間の服用が守られるか」については、「薬剤師による対面販売で確保できる」と説明し、早急なPPIのスイッチ化を求めた。

 

しかし、長島公之委員(日本医師会常任理事)は、パブコメの賛成意見は、「販売体制が確保できていることを想定したもの」とし、短期間の服用が順守できる体制が整っていない状況では、「前回同様、否でいい」と反対。他の委員からも、「H2ブロッカーがある状況で急ぐ必要はない。販売体制が担保されるまで急ぐ必要はない」などの意見が相次いだ。

 

笠貫宏座長(早稲田大学特命教授 医療レギュラトリーサイエンス研究所顧問)は、現時点で販売体制が整っていないことから、これまでの結論と同様「否」で意見集約する一方、パブコメにスイッチ化を求める意見が数多く寄せられていることなどを踏まえ、「販売実態の改善状況のフォローを適宜、お願いしたい」とし、日薬や事務局に判断材料となる資料やデータの提出を要望。さらに、「改善が確認された際には、スイッチ化の可否に関する議論を再度、ここでさせていただきたい」と総括した。

 

長島委員は、医学の進歩やPPIを取り巻く環境変化などを考慮し、「ゼロから検討するのが筋」とし、「『ここでもう一度やりましょう』は違う」と異論を唱えたが、笠貫座長は、日薬や厚労省から、販売状況の改善が示されれば、「議論は妨げない」と明言し、「門戸は開けておくべき」と押し切った。

 

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出典:薬事日報

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