薬剤師が毛髪相談で活躍‐毛髪診断士取得を呼びかけ
日本毛髪科学協会 木嶋 敬二氏
毛髪について悩みの相談を受けて、適切な髪の手入れ方法をアドバイスする「毛髪診断士」。日本毛髪科学協会は、国内で唯一毛髪診断士の認定制度を有している機関だ。同協会の木嶋敬二理事長は、本紙のインタビューで、毛髪診断士の認定資格の取得について、「薬剤師にもっと興味をもってもらいたい」と訴える。従来、育毛剤として販売されている製品の多くは医薬部外品であったが、最近では購入時に薬剤師による説明が必要な第1類医薬品も増えているとして、「薬剤師が毛髪診断士の資格を取得すれば、ドラッグストアや調剤薬局での活躍の幅が拡がる」と認定試験への積極的な挑戦を呼びかけた。
日本毛髪科学協会は、毛髪と皮膚についての正しい知識の啓発を目的に、1966年に社団法人として設立。2011年から内閣府認定を受け、公益社団法人に変更した。正会員(個人会員)と賛助会員(主に団体会員)から成り立っており、個人会員が理容師、美容師、薬剤師など約2000人、賛助会員が製薬会社や化粧品会社など約70社となっている。
主な活動としては、全国セミナーや新春セミナー、秋期セミナーの開催に加え、会員の教育研修や毛髪についての調査研究を実施している。また、毛髪診断士制度を有しており、毛髪や頭皮に関する知識の向上を図ろうとする理容師や美容師、メーカーの従業員向けに試験を実施し、合格者を毛髪診断士として認定。会員のほとんどが毛髪診断士の認定を受けている。
だが、毛髪診断士をめぐっては、薬剤師への普及が同協会の課題となっている。現状、会員約2000人のうち、薬剤師はわずか36人。最近では、育毛剤として市販されている製品でも、第1類医薬品として販売されているケースもあり、購入の際には薬剤師による適正使用の確認が必要となる。
木嶋氏は、「消費者は、有効成分に関する知識を持っていないケースが多い。毛髪診断士の資格を有する薬剤師が、化学構造をベースに説明することにより、育毛剤の適正使用がより深まるのではないか」と語る。第2類、第3類医薬品を販売できる登録販売者にも、毛髪診断士の資格取得を積極的に普及させていく方針だ。
一方、昨年には毛髪診断士としての業務をさらに徹底するために、全会員を対象に、毛髪相談などに関するアンケートを実施し、その結果、香粧品、ヘアケア、脱毛、白髪、法規制に関する質問が多数集まり、これらをもとに毛髪診断士のための手引きを作成するための「毛髪相談手引き作成委員会」を立ち上げた。現在、513の質問を整理し、皮膚科の専門医の協力を得て、会員向けの小冊子を作成。一般消費者向けの発売も検討しているとのことだ。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
薄毛、脱毛など気になるヘアケアのアドバイスをする「毛髪診断士」。
日本毛髪科学協会の木嶋敬二理事長は、毛髪診断士の認定資格の取得について「薬剤師にもっと興味をもってもらいたい」と訴えています。
ドラッグストアや調剤で活躍の場が広がる、とのことです。