薬効違う後発品を取違え‐薬局ヒヤリ・ハット年報
一般名処方で注意喚起
日本医療機能評価機構は26日、2014年の薬局ヒヤリ・ハット事例をまとめた集計結果を公表した。昨年の薬局におけるヒヤリ・ハット事例の報告件数は5399件。後発品の使用促進を受け、一般名処方に関するヒヤリ・ハット事例は5.3%と増えたが、薬剤取り違え事例のうち、不整脈用剤と痛風治療剤など主な薬効が異なる一般名の医薬品と取り違えた事例が12件(25.5%)見られたことから、同機構は薬局関係者に注意喚起した。また、医療機関で発生した処方の誤りを、薬局で発見した疑義照会関連の事例も14.6%と引き続き増えた。
14年に報告されたヒヤリ・ハット事例は、調剤関連が4594件(85.1%)、疑義照会関連が789件(14.6%)等となった。そのうち疑義照会関連のヒヤリ・ハット事例は前年の13.4%から増え、年々増加傾向にあることが分かった。
後発品の使用促進が一層加速する中、一般名処方に関するヒヤリ・ハット事例を分析したところ、昨年報告された5399件のうち288件(5.3%)と引き続き増加傾向にあった。そのうち調剤に関する事例252件の内訳を見ると、薬剤取り違えが138件(54.8%)と最も多かった。
薬剤取り違えの内容を見ると、同じ一般名の医薬品と取り違えた事例が89件(64.5%)となった。その事例を詳しく分析したところ、先発品と後発品の取り違えが72件(80.9%)と最も多く、後発品同士の取り違えも8件(9.0%)あった。
さらに、一般名処方の薬剤取り違え事例で、異なる一般名の医薬品と取り違えた事例は47件。そのうち主な薬効が異なる組み合わせの事例も12件(25.5%)あった。具体的には、不整脈用剤「アロチノロール塩酸塩錠10mg」を痛風治療剤「アロプリノール錠100mg」と間違えた事例などが見られ、同機構は「主な薬効が異なる医薬品と取り違えた事例は、医薬品を使った時の患者への影響が大きい」として、特に注意を促した。
先発品から後発品への変更に関する事例も142件(2.6%)あり、同様に薬剤を取り違えた事例が105件(73.9%)と最も多かった。取り違えの内容は、後発品に変更調剤するところを同一成分の先発品を調剤した事例が85件(81.0%)と大半を占めたが、後発品に変更調剤するところ、異なる成分の医薬品を調剤してしまった事例が10件(9.5%)、そのうち主な薬効が異なる組み合わせが6件あったことから、同機構は一般名処方事例と同様に注意喚起した。
今回、新たに散剤の調製に関するヒヤリ・ハット事例の分析を行ったところ、57件で全体の1.1%と少なかった。散剤は、錠剤やカプセル剤が内服できない乳幼児などが内服することが多く、実際に患者の年齢は0~10歳が22件(38.6%)と最も多く、全体の約4割を占めた。
その内訳を見ると、秤量間違いが24件(42.1%)、分包間違いが25件(43.9%)で、その要因としては確認を怠ったことが大半を占めた。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
日本医療機能評価機構が2014年の薬局ヒヤリ・ハット事例を集計し、公表しました。後発品の使用促進を受け、一般名処方に関するヒヤリ・ハット事例が増加しているとのこと。そのうち、主な薬効が異なる一般名医薬品と取り違えた事例は25.5%に上るとのことです。