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薬物乱用、大麻が最多に‐女性で鎮痛薬常用が増加

薬+読 編集部からのコメント

厚生労働省は、薬物使用についてのモニタリング調査(15~64歳の一般住民5000人)によると、大麻の使用が1.4%となり過去最多に。大麻の使用人口は約133万と推計され、過去20年の調査で最も多くなっています。一方、危険ドラッグの使用率は減少しています。
また、鎮痛薬を週3以上服用する習慣的使用者も過去最多となり、とくに女性が上昇傾向です。

一般住民の医薬品使用を含めた薬物乱用の状況を調べたところ、大麻の生涯経験率が上昇し、国内で最も乱用されている薬物となったことが、厚生労働省研究班「薬物乱用・依存状況等のモニタリング調査と薬物依存症者・家族に対する回復支援に関する研究」(代表:嶋根卓也国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部心理社会研究室長)の全国調査で明らかになった。これまで最も生涯経験率が高かった有機溶剤は大幅に減少し、代わって大麻の経験率が上昇。大麻使用に誘われる機会や大麻を容認する考えを持つ人も若年世代で増えている実態も判明した。一方、鎮痛薬の常用者が増えており、特に女性で上昇傾向が見られ、これまでで最も高い値となった。危険ドラッグは減少傾向にあり、ほぼ沈静化したと考えられた。

 

 

厚労研究班調査 危険ドラッグ問題は終息

 

調査は、一般住民の薬物使用の最新状況を把握すると共に、経年的な変化をモニタリングするため、1995年から隔年で実施されているもの。2017年度で12回目となった。対象は15~64歳までの一般住民5000人。昨年9~10月にかけて無記名自記式の質問票調査により行われた。回収率は58.1%。

 

その結果、薬物使用の生涯経験率は、大麻が1.4%、有機溶剤が1.1%、覚せい剤が0.5%、コカインが0.3%、危険ドラッグが0.2%と、大麻の生涯経験率が上昇し、20年以上にわたるモニタリング期間で最も高い値となったことが分かった。大麻を使用している推計人口は約133万人。大麻使用に誘われる機会も増えており、特に関東地区の都市部で多い。10~30代の世代では大麻を使用することを容認する考えを持つ人も増えていた。

 

一方、これまで最も生涯経験率が高かった有機溶剤は大幅に減少。20年以上のモニタリング期間で最も低く、使用人口は約104万人と推計された。危険ドラッグの生涯経験率は0.2%となり、13年の0.4%、15年の0.3%に比べてさらに減少した。推計使用人口は約22万人となり、着実に減少した。

 

また、鎮痛薬を週3回以上服用している習慣的使用者は2.8%に増え、モニタリング期間で最も高い値となった。特に女性で3.6%と上昇傾向が見られ、習慣的に鎮痛薬を服用している女性が増えている実態が分かった。

 

精神安定薬と睡眠薬の習慣的使用者については横ばいで推移していたほか、過去30日間のエナジードリンクの摂取率は38.3%となり、摂取率は特に30代の男性で高かった。

今回の調査結果から、これまで最も生涯経験率が高かった有機溶剤に代わり、大麻が国内で最も乱用されている薬物となったことが明らかになった。95年から20年以上にわたるモニタリング期間で最も高い値となり、注目された。

 

さらに、大麻取締法違反で検挙される人も最近数年で増えつつあり、国内で大麻使用は確実に増加傾向にあった。特に関東地区などの都市部で誘われる機会が多いことがうかがえた。大麻使用に対しては「どんなことがあっても使うべきではない」と考える人が多数派ではあるものの、大麻を容認する考えが10~30代で増加している結果も得られており、研究班は若年層に対する乱用防止啓発の重要性を指摘した。

 

大麻使用が増加する一方で、危険ドラッグ使用者は連続して減少傾向が見られた。危険ドラッグ対策が強化されたことで販売店が一掃され、14年以降危険ドラッグの入手可能性が低くなっていることなどから、研究班は「危険ドラッグ問題はほぼ沈静化した」と結論づけた。

 

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出典:薬事日報

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